ニッケイ新聞 2011年1月8日付け
「2月1日から連邦下議に繰上げ就任します」。年末来社した西森ルイス弘志パラナ州議(PSDB=民主社会党)は満面に笑みを浮かべて報告した。日系下議の過去最多は4人。現在は安部順二、太田ヨランダ、高山秀和3氏の当選だけだが、西森氏を入れればすでに過去最多タイ記録の4人。ほぼ繰上げ就任を決めていると言われる飯星ワルテル下議(DEM)をあわせれば、実は2月1日にはコロニア史上最多の5連邦下議時代を迎える可能性がある。さらに南マット・グロッソ州の大坪アキラ州議(PMDB)が連邦下議の補欠第1位にいることから、場合によっては「6人」ということもありえる。来月の下議正式就任向けて期待が高まっている。
西森ルイス州議は昨年10月の統一選挙で7万88票を得て、惜しくも連立党内で補欠第2位(PSDB内では補欠1位)だった。
ところが年末22日に来社し、ベット・リッシャ新州知事の州政府要職の割り振りが終わったところで、PSDBから少なくとも2人以上の連邦下議が入ることが確実になり「間違いなく繰上げになる」と報告した。
「次はブラジルの時代が来る」と西森氏は高々と宣言する。「日系社会のみなさまには7万票以上も応援して頂き、本当に感謝しています。今度は首都ブラジリアでパラナ州を代表して日系社会のために尽くしたい」と語った。
特に力を入れたいのは同州への日本企業の誘致だという。「日伯の経済交流をもっと盛り上げたい」。昨年10月は選挙のために経済使節団訪日ができなかったので、今年は4月、10月と2回を予定している。
さらに「専門学校を増やして労働者の質の向上を図る。それぞれの町の特長を活かした労働者の育成が重要。企業にとっては税制改革も急務、それに労働者の権利が擁護されすぎる傾向がある裁判制度の現状も検討すべき」と考えている。
一方、飯星下議は「まだ祝うのは早すぎる」と慎重を期しているが、今月末までにサンパウロ州政府の連立与党間の裏交渉による突然の大変更がない限り、2月1日に就任できることはほぼ決まっている状況のようだ。
その他、1969年に南麻州トレス・ラゴアスの市議会議員を皮切りに政治家人生を始めた大ベテラン、大坪アキラ氏は3期の市議の後、1982年から州議を7期28年間に渡って務めた。昨年、息子ルイス氏を州議に出して落選、自らは連邦下議に立候補して補欠1位だった。
同州知事は同じ政党であり、同州議いわく「知事は約束してくれた」という。しかし、6日晩現在、すでに同州政府の要職は任命済みであり、今回の繰上げは難しい雲行きだ。むしろ2年後の統一地方選挙での繰上げの可能性が高いようだ。そうなれば夢の「日系下議6人時代」を迎える可能性がある。
下本八郎元サンパウロ州議によれば、日系連邦下議の最多数は4人。「5人、6人というのは今まで聞いたことがない」と驚く。「日系人だけの票では当選するのが難しい時代になった。それは逆にいえば、日系という有権者の枠に留まらず非日系の票が取り込めれば、今までよりも多くの候補が当選できる時代になったということかもしれない」と分析した。