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ベレン=沼沢学長が訪日の報告=東京の大学などで講演

ニッケイ新聞 2011年1月11日付け

 【パラー州ベレン発】在ベレン日本国総領事館(名井良三総領事)は12月14日午後5時半から同館で、日本外務省の招聘で10月20日から約10日間訪日した沼沢末雄アマゾニア連邦農業大学(UFRA)学長の訪日報告会を開催した。
 沼沢学長は、日系唯一の連邦大学々長であり、アマゾンの環境問題やトメアスーを中心とした森林農法で生産されるココアについては近年日本でも関心が高まり、09年のアマゾン日本人移住80年祭も盛大に行われたことから、日本でアマゾンの現状を広報する好機であると在ベレン総領事館が外務省と調整し、今回の招待となった。また東京農業大学北伯OB会の支援を受け、カルメン夫人も同行した。
 沼沢学長は、東京外国語大学及び東京農業大学で講演会を開き、アマゾニア連邦農業大学の歴史、活動、将来の展望など紹介。80年を経たアマゾン日本人移住の歴史やトメアスー総合農業協同組合が提唱する森林農法などについて講演した。活発な質疑応答から「聴衆のアマゾンに対する関心の高さを実感した」という。また東京外大ではポ語を学ぶ学生との間で「ポ語のみで意見交換が行われ感銘を受けた」と報告した。
 山花郁夫外務政務官、在京ブラジル大使館のルイス・アウグスト・デ・カストロ大使との懇談もあり、アマゾンの農業・環境問題について両者と意見交換した。
 さらには、小畑秀文・東京農工大学長、大澤貫寿・東京農大学長と懇談の折、11年4月15日、アマゾニア連邦農業大学の創立60周年記念式典を同大学で実施することを紹介するとともに式典への招待を行った。両大学からは代表が同式典に参列する見込み。なお、両大学との交流形態(姉妹校)の可能性も話し合われたが、一つの国に一校の原則があることから、今後、準姉妹校(Co-Irma)として検討することになった。
 このほか、民間企業・明治製菓を訪問。アフリカ産ココアへの依存を低減したい明治製菓は、昨年よりトメアスー移住地におけるココア生産の技術支援と生産物の輸入を開始しており、学長訪問においても、同社からトメアスーのココアに高い期待が表明された。
 沼沢学長は、「今回の訪日がパラーと日本との交流の絆が強固になるよう支援下さった名井総領事、またカルメン夫人を同行させてくれた農大OB会に対し心から感謝申し上げます」と締めくくった。
 当日は、伊藤ラウロ同大教授、パラー日系商工会議所から山田フェルナンド会頭、神園良生副会頭、山元陽三副会頭、長瀬アレクセイ理事、長石ジュリエッタ事務局長、生田勇治汎アマゾニア日伯協会・アマゾニア援協会長夫妻、池内佳代子アマゾニア婦人会会長、東京農大北伯OB会から山中正二会長、佐藤卓司理事、北伯山形県人会、武田司平会長夫妻、大楯俊春理事夫妻。海谷英雄理事ら20人が参加した。(下小薗昭仁パラー州通信員)