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大臣立会いのもと開所式=帰伯労働者支援センター=文協ビル=「進出企業は帰国者雇って」=10カ月で2千人応対目指す

ニッケイ新聞 2011年1月12日付け

 ブラジル労働省のカルロス・ルッピ大臣立会いのもと、世界から帰伯するブラジル人労働者の相談にのって情報提供するという同省肝いりの新事業、帰伯労働者情報支援センター(NAITRE)の第一弾が10日午前、文協ビル内に開所された。同省からの事業委託を受けたのはISEC(文化教育連帯学会、吉岡黎明会長)で「リベルダーデの文協ビル内で」との〃ご指名〃だったという。吉岡会長は「日系社会はオルガニザード(組織的)だからここを試験台にしてノウハウを積み、広げていこうという方針のようです」と説明する。金融危機後、静岡県浜松市に「労働者の家」を設置して在日ブラジル人の支援を始めた同省、今回は帰伯者をも手伝うべく一歩を踏み出した。

 「昨年、日本には最初の〃労働者の家〃(静岡県浜松市)を作り、今度はリベルダーデにこのセンターを開設した。日系コロニアは農業分野で大きな貢献をしてきたが、帰伯労働者に関しても一般社会の模範となってほしい」。そうルッピ労働大臣は呼びかけた。「ブラジルが発展し続けるために、企業家も帰伯者に雇用の道を開き協力してほしい」。
 吉岡会長も「ぜひ日本進出企業にはデカセギ帰伯者を雇って欲しい。彼等は日本の労働習慣ややり方を良く知っている。役立つはずだ」とし、法律相談は文協法務委員会、健康関係は援協に、労働・雇用関係はすぐ近くの金属労組本部(Palacio do Trabalhador)や、すでに同様の事業を独自にやってきたグルッポ・ニッケイに協力を求め、一緒に取り組んでいくと語った。日系に限らず、広く帰伯ブラジル人の相談を受ける。
 大部一秋在聖総領事は「労働なくして生活ナシ。連帯(ISECの名称の一部)はブラジル社会の特性そのものであり、この事業はまさにそれが具現化されたもの。労働省の最初の試みが日系社会の中心たる文協ビルを舞台に年頭から行われることは、実に意義深い」と挨拶した。
 ISECは事実上、文協のデカセギ問題検討委員会と同じだが、独立した法人格を持っているため、INSS問題などを抱える文協本体とは別に今回のような委託契約を結ぶことができる。
 労働省からは10カ月間で2千人の対応をすることを目標として設定され、9万5千レアルの補助金が支給される。ISEC側も5千レアルを積み、計10万レアルで事業を遂行し、10カ月近くになったところで活動評価をし、継続するかが決められるという。
 当日はブラジル日本商工会議所の中山立夫会頭、パウリーニョ・ダ・フォルサ下議、飯星ワルテル下議、森口イナシオ援協会長、木多喜八郎文協会長らも列席した。
 場所は元援協歯科診療所。平日の午前9時から午後5時まで、3人の常駐職員が相談を受け専門家を紹介する。連絡は電話(11・3203・1916)まで。「帰伯したばかりの知り合いや友人に教えて欲しい」と吉岡会長は呼びかける。
 上原幸啓前文協会長は「これは日系だけでなく全ての帰伯者の相談にのるもの。ブラジル社会に貢献できる。この事業のパートナーに文協を選んでもらったのは大変光栄なこと」と喜んだ。