ニッケイ新聞 2011年1月13日付け
10日夜から強い雨に見舞われ、14人の死者が出たサンパウロ州始め、南東伯で雨の被害が相次いで報告され、12日付伯字紙では、「想定外の雨」を理由に責任回避を図る行政担当者への批判の声なども掲載している。
11日午前中は13人と報道されたサンパウロ州の死者は、イペロ市の1人を含む14人に訂正された他、リオ州では12日に消防士3人が2次災害に巻き込まれた、65の自治体が警戒態勢を敷くミナス州でも12日、倒木で女性が死亡などの報道が相次いでいる。
水害の死者は土砂崩れによるものが大半。サンパウロ州で見ると、民家4軒が倒壊し女性5人死亡のサンジョゼ・ドス・カンポス市、先週も死者2人が出たジャルジン・ザイーラとその隣のロジーナで3人死亡のマウアー市の例や、サンパウロ市北部のトレメンベーで救出されたが死亡した母娘、ガン治療のためエンブーの娘宅に身を寄せていたペルナンブコ出身の男性は、皆、土砂崩れによる犠牲者だ。
また、馬に乗った男性が死亡したイペロ市や、サンパウロ市9・デ・ジューリョとモジ市で起きた水死事故は押し寄せる水に流されたもののようだ。
消防士らに救出された176人もほとんどが土砂崩れの被害者だが、サンパウロ市のチエテ川やピニェイロス川など川の氾濫も多く、11日朝の冠水個所はサンパウロ市だけで100カ所超。アチバイア市は非常事態宣言も出している。
リオ州では、30カ所以上で土砂崩れが起きたノヴァ・フリブルゴで12日、2次災害に巻き込まれた消防士3人を含む7人の死亡が確認されるなど、同日4時迄のセラーナ地方での死者は、テレゾポリスの71人を筆頭に96人に増えた。
年末年始の死者が16人に上っていたミナス州でも、12日朝、避難所でもある公園の大木が倒れ、女性一人が死亡という事故が起きている。
被害の詳細を上げていくと限りがないが、サンパウロ市のカサビ市長は11日、「想定外の雨」によるもので、市の防災対策は効を奏しているといつもの逃げ口上。11日迄の雨が1月の平均降水量の9割を超えたとはいえ、アリカンドゥーヴァなど、市内を走る川の清掃や防災用貯水池増設不履行、警報体制不備などの問題はほとんど解決していないのが実情だ。
川底の砂などの除去が必要なのはチエテ川も同様で、アウキミンサンパウロ州知事は11日、チエテの川底を早急に清掃する事やサンカエタノ市の貯水池建設などを約束。
11日付エスタード紙によれば、アロイジオ・メルカダンテ科学技術相が天然災害に関する予知計画立案の意向を表明というが、10日からの雨は6日頃から警告されていたが実際の防災処置に繋がらなかった。対策遅れのツケを払わされる市民としては、予算はあっても支出されない防災費同様、画餅で終らない様願わされる次第だ。