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Fiesp=市場や雇用の喪失分試算=レアル高に伴う輸入増加で

ニッケイ新聞 2011年1月13日付け

 Fiesp(サンパウロ州工業連盟)のデータによると、レアル高で外国製品の輸入が増えたことにより、国内の製造業は、2010年1〜9月に173億レアル相当の市場と4万6千人を雇用するチャンスを失ったと10日付エスタード紙が報じた。
 輸入製品の国内消費に占める比率は、2008年1〜9月(国際的な金融危機前)がGDP(国内総生産)の19・6%だったのに対し、昨年同期は21・2%で、国産品が輸入品に食われた形となっている。
 同データでは、国産品が輸入品に市場を侵食されていなければ、工業製品の輸入額は2324億レアルから2151億レアルに落ちる一方、国内の工業製品生産量は1兆550億レアルから1兆720億レアルに増えていたと試算。生産量が1・6%増えれば、雇用も0・58%増加するはずだったという。
 「国の発展の為には国内産業を犠牲にしてはならないはずだ」とFiespのパウロ・スカフ会長は述べた。IBGE(ブラジル地理統計院)2007年採用の新しい計算方法によるFiespの試算によると、1980年代末の国内製造業のGDP比率は27%だったが、現在は16%まで下がっている。
 ブラジル国内での製造業の後退は今に始まったことではなく、「国内産業は1992年から後退している」と元財務大臣のルイス・カルロス・ブレッセル・ペレイラ氏は述べている。
 同氏によれば、IMF(国際通貨基金)との枠組み合意で金融開放をした結果、レアルは評価されたが、輸出への投資の機会や貯蓄が減り、国内市場は輸入品で溢れるようになったことでGDPに占める比重が低下。国内企業の多くは成長が止まったり、倒産に追い込まれたりしたという。

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