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バチスチ問題で報復か=伊下院が軍事協定投票延期

ニッケイ新聞 2011年1月14日付け

 イタリア下院の党指導者たちが11日、伯伊両国間で既に署名を交わしていた海軍補強のための軍事協定の投票を延期したと12日付エスタード紙が報じた。
 決断は政府与党である自由民主党のフィアマ・ニレンステイン氏の提案を受けたもので、ルーラ前大統領のセザレ・バチスチ容疑者の本国送還拒否に対する報復行為と見られている。
 伯伊二国間協定は、ブラジル海軍向けの船舶とフリゲート艦の製造や売却、技術移転に関する推定総額30億ドルに及ぶ大型商談。イニャーツィオ・ラ・ルッサ伊国防相とネルソン・ジョビンブラジル防相が署名した後、伊上院の承認も得ており、同下院の承認を残すのみとなっている。
 ブラジルに対する身柄引き渡し要求却下で問題となったのはバチスチ関連のイタリア政府だけではない。05年にコロンビアのアウバロ・ウリビ前大統領が、コロンビア革命軍(Farc)ゲリラのオリヴェリオ・メジナ氏の本国送還を要求した時も、翌年7月に政治犯としての受け入れを決め、問題となった。
 昨年11月16日付エスタード紙によると、国際社会の要求を受け、ブラジルは戦争難民や様々な理由による追害の犠牲者の受け入れを拡大しているが、バチスチ問題などによる国際関係悪化を考えると、受け入れ基準の再検討も必要となる。
 同紙によると、昨年11月までに受け入れた難民は76カ国4311人で、アンゴラからの1686人始め、コロンビア592人、コンゴ共和国431人、リベリア258人、イラク201人、キューバ133人となっている。それでも、Farcとの抗争を理由にコロンビア人だけで50万人受け入れのエクアドルなどから見れば少数だ。