ニッケイ新聞 2011年1月14日付け
新潟県とブラジル新潟県人会(柿嶋昭三会長)が行う農業青年等国際交流推進事業で9日、団長と研修生の5人が着聖した。一行は10日間滞伯し、ブラジルの農業に学ぶ。9日夜、同県人会館で歓迎会が開かれ、約20人の会員らと懇談がもたれた。
柿嶋会長が「遥々おこし下さいました。日本と違う部分をしっかり学び、日本へ伝えて欲しい。会員も期待している」とあいさつ。団長として引率した白井敏彦・県新潟地域振興局農林振興部副部長(新潟市、54)は「ブラジルの大規模農業の経営理念などを知り、新潟の農業に貢献したい」と抱負を述べた。料理には会員の農園で収穫された野菜も並び、原沢和夫相談役の乾杯の音頭で歓談を交えた食事会が始まった。
研修生は、ペルナンブッコ州ペトロリーナやサンパウロ州のエンブー・グアスー、アチバイアの会員のファゼンダでファームステイを行う。パラナ州のロンドリーナやイグアスの滝、パラグアイの視察も予定されている。
水稲を行う家業で15代目という研修生小原周市さん(長岡市、27)は、「市蔵(いっつぉろん)」の名前でコシヒカリを作っている。「時代の流れに沿って家族経営もいつかは変えなければ。法人のような組織も必要」との考えを胸に参加、ブラジル農業の経営理念に注目する。
「5年前父が倒れた時が転機だった—」と家業を継ぐ決心を語るのは、家族の水稲栽培を手伝って10年の佐藤篤さん(長岡市、27)。今年4月から経営を任される事になり、不安を抱えていた時に同事業への参加が決まったという。「軽い気持ちじゃ駄目だと実感した。人間が変わるくらい学んで帰りたい」と熱い思いを語った。
3年前にアメリカでの農業研修に参加した経験もあると話す関裕也さん(魚沼市、26)は、地元の農業普及所に通う中で同事業の事を知って参加。「各地の状況を比較し、現地の風土に合わせてどのように農業を行っているのか違いを見てみたい」と興味を覗かせた。
最年少の渡邉健史さん(上越市、24)は、海外の農業を視察し視野を広げようと参加した。「農家は作るプロであって人を束ねるプロではない。日本の農家は経営主として成功している人が少ない。苦労している人をいっぱい見てきた」と話す渡邉さんは、「ブラジルは耕地面積に加え雇う人の規模が違うため、経営の方法も違うはず。そこに学びたい」と期待を表した。
同事業では今までに日本から100人、ブラジルから50人が研修に参加している。