ニッケイ新聞 2011年1月15日付け
【既報関連】リオ州セラーナ地方を襲った強い雨は500人を超える死者を出し、浸水や家屋倒壊で避難を強いられた人々も1万5千人近いという、土砂災害としてはブラジル史上最悪の結果をもたらした。同種災害としては世界でも十指に入る被災地には13、14日も雨が降り、2次災害の懸念も広がる中、必死の救助作業が続けられている。
13日16時過ぎのサイト記事では394人だったセラーナ地方での死者は、14日16時過ぎに、ノヴァ・フリブルゴ246人、テレゾポリス228人、ペトロポリス39人、スミドウロ19人、サンジョゼ・ド・ヴァーレ・ド・リオ・プレット2人の計534人と更に増え続けている。
市警報告の死者はペトロポリス41人、サンジョゼ・ド・ヴァーレ・ド・リオ・プレット4人と多少食い違いがあるが、雨は14日も続き、2次災害による死者増加も懸念されている。
14日付エスタード紙によると、同地方での死者は、1974年の脳膜炎(死者1500人)と1967年1月の洪水(同785人)に次ぐブラジル史上最大規模。
また、土砂災害としては、1971年3月のペルーでの死者600人に次ぐ、世界10位の不名誉な記録。自然災害の世界的権威で国連研究機関理事のデバラチ・グアサピル氏は、雨による被害が頻発しているブラジルで、今回のような大災害が起きたのは〃政治的怠慢〃だと手厳しい。経済力や技術力もあるブラジルが防災対策で遅れをとり荒ぶる自然に泣かされるのは、政治家にその気がなく、行政の手が届かないからで、必要な対策をとらないと自然災害は激化するのみだという。
その意味で、ジウマ大統領が13日、リオ州知事や被災地市長、閣僚らと被災2日目の現地を視察し、国と自治体が共に被災地救援と防災に取り組む姿勢を見せた事は評価に値する。
被害の集中した3市は過去40年に人口が4倍に増え、山肌や川沿いなどの危険地域に相当数の家屋があった事が被害を大きくしたとの批判は大統領と知事双方から出たが、そんな所にしか家を建てられないとか見つけられない現状を改善するには行政の手が必要。
大統領は、上下水道整備や住宅政策向けの経済活性化計画(PAC)予算の活用も念頭に置きつつ、軍派遣などを約束。250人の兵士は14日に現地入りし救助活動に加わったが、自治体からの要請次第では町再建にも参加する事になる。
被災地の市営墓地ではショベルカーで埋葬用の穴を掘るなどの窮状が伝えられる中、輸血用の血液が必要と聞いた人々がセンターに押しかけるなど、様々な形の救援活動も拡大している。