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14年までに警告体制構築を=自然災害を予告し防災=被災地からも貴重なデータ=期待がかかる大統領の手腕

ニッケイ新聞 2011年1月19日付け

 連邦政府が17日、2014年までに自然災害を予測し警告するためのシステムを構築すると発表した。18日付伯字紙によると、2005年に国連が2015年の完成を求め、ルーラ政権も実現を約束した同システムが、やっと日の目を浴びる事になったようだ。

 05年に世界167カ国と共に国連と取り交わした合意は、自然災害被害削減のため、15年までに警告システムを立ち上げるというものだが、ルーラ前大統領が署名した同合意は、ほとんど手付かずのまま、新政権に託された事になる。
 システム構築は全国危機災害管理センター(Cenad)の責任の下にあったが、2008年以降、情報収集や地域との通信/手配などのための機材購入、防災対策網確立のために当てられた予算は310万レアル。
 この予算で先の目標達成は困難で、アロイジオ・メルカダンテ科学技術相も、新システム構築には、昨年12月に国立宇宙調査研究院(Inpe)に導入された高速の大型コンピューター利用との意向を示した。
 同システムでは、土砂崩れの起き易い地域500カ所、洪水の起き易い地域500カ所を重点監視。これら地域での被害者を80%、全国での自然災害被害者も50%減らす事を目標とする。
 実際のシステム構築には、危険地域識別のための基準作成や、防災キャンペーン、自治体毎の活動を均一化し統括できる組織や施設確立、防波堤や山周辺などの防災壁設置、危険地域住民の移転など課題も山積。リオ州セラーナ地方からの被災報告直後に現地を視察、閣僚や軍派遣などを矢継ぎ早に指示するなど、実務能力に長け、目標を明確にして物事を進めるジウマ大統領の手腕に期待したいところだ。
 リオ州Crea(地方建築、工学、農業技師協議会)が17日に発表した、工学や建築、農学、地質学、地理学、気象学などの専門家を同地方にボランティアとして派遣し、土壌や地形その他の分析や評価、救助活動や再建計画に対する提言などを行わせるという計画も、防災策立案への適用が期待される。
 セラーナ地方では、土砂災害発生から一週間を経た18日11時過ぎ、ボン・ジャルジン市でも遺体が回収され、死者総数は6市で680人に。現地からの報告によると、今回の雨や土砂崩れで地形が大きく変わったセラーナ地方は、道路や通信網が断絶されたままの所も多く、一週間経った今も孤立した地域が残っている他、法医学研究所に運べない遺体を庭に埋葬する例も出ている。軍による物資搬入用の橋設置など、救助作業の進展と共に、被災者への速やかな医療処置や救援物資支給、孤児となった子供達への対応などが期待されるところだ。