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〃オレオレ〃詐欺が再発=電話口から奇妙な甥の声=高齢者狙われ、被害増える

ニッケイ新聞 2011年1月19日付け

 「叔父さん、僕だよ。交通事故を起こして困ってるんだ」—。そう電話口から聞き覚えのない甥の声が聞こえてきたら、注意が必要だ。2009年に流行ったオレオレ詐欺(振り込め詐欺)の被害が、今年に入って再び増加している。怪しいと感じたら、指定された銀行口座にお金を振り込む前に本人または親戚まで確認を取る事が勧められる。18日付エスタード紙が注意を喚起した。
 高齢者を狙ったこの手の電話での詐欺が、サンパウロ市で今月すでに13件報告された。市内ベラ・ヴィスタ区に住む年金生活者Aさん(80)には、甥になりすました犯人から、雨で自動車事故を起こした、免許の更新期限が切れていたため車も没収されそうで困っていると電話が掛かって来た。甥はブラジリアに住んでいるはずだったが、「仕事でサンパウロ市まで来ている」と騙され、1500レアルを振り込んでしまった。
 ある54歳の女性教師の家にも3日、甥を名乗る男性から類似の電話が掛かって来た。交通事故を起こしたと説明され、「賠償金を支払うため」に1500レアルを口座に振り込むよう頼まれた。女性も言われた通りお金を振り込んだ後、甥の職場に電話を掛けて初めて詐欺にあったことに気が付いたという。
 専門家の推測によれば、犯人は囚人で、刑務所の中から携帯電話を使用して電話を掛けて来る。甥を装い、事故を起こしたなどと涙声で語っては、同情を誘って「1時間以内に」と緊急にお金を振り込むよう迫る。犯人は会話の中で被害者家族の名前を聞き出しては、その場ででたらめな話を作り上げている。また、家族を誘拐したと嘘をついた脅迫電話で身代金を要求するケースも報告されている。
 こういったおかしな電話は対応せずにすぐに切ること、また、怪しいと感じた時にはすぐに本人や他の親戚に確認を取ることが望ましい。この手の電話は他の州からかかって来る事が多いので、表示される電話番号に注目することも詐欺を見破る一助になる。
 75歳の男性は、詐欺に遭った事が恥ずかしくて親戚にも言えなかったというが、被害に遭った場合には、警察まで被害届を出すように呼びかけられている。