今の仕事に不安感じる?=多様化する雇用環境の中で=ヒラシマさんがアドバイス
ニッケイ新聞 2011年1月20日付け
昨年のブラジルでは250万人の正規雇用(労働手帳取得者)を創出し、今年も安定した雇用増加が続くと見られるが、技術職に関しては高まる需要に対して国内の技術者が少なく、外国人の雇用傾向が強まっている。このように多様化する雇用環境だが、企業のあり方をしっかりと見極め、経験を重ねながら職歴を積むことが必要だ。13日付エスタード紙が取り上げた。
夢に見ていた大企業に就職、しかし、その後、会社に問題が起こったらどうするだろう。昨年は25億レアルもの巨額の資金が消えたパンアメリカーノ銀行が大きな話題になったが、会社が世間から道徳を問われるような状態に追い詰められた時、労働者にはどのような対応が求められるだろうか。
「砂の城が崩れるように見る間に崩壊した。何をすればよいのか、1年間、何もできず途方に暮れた」との言葉で当時を振り返るのは、世界5大会計事務所の一つといわれた米国の大手監査法人アーサー・アンダーセンに務めていたヒラシマ・タイキさんだ。エンロン社の粉飾会計で招いたスキャンダルで顧客の信頼を失い、2002年に解散に追い込まれるまで、40年間会社のために働いていた。
新たなコンサルタント会社に業務が引き継がれた時、他の若手社員が引き止められたのに対し、ヒラシマさんにその声は掛からなかった。
窮地に追い込まれたヒラシマさんだったが、「アーサー社での経験はすばらしかったが、この会社で働くことだけがキャリアの終わりではない」と気がついた。2003年、同社の同僚5人と新たなコンサルタント会社ヒラシマ&アソシアードスを創設。少しずつ大きくした取引でイタウーやカイシャ、ブラジル銀行など大手金融機関を顧客とするようになり、専門職25人を雇うまでに成長した。
元同僚でアーサー社解体後、他のコンサルタント会社に勤務していた弁護士ルシアーナ・モヤさんも、現在はヒラシマ&アソシアードスに移った。ヒラシマさんは、「40年働き、それでも自分には何も残っていなかった。何か新しいことをやろうと思い立った」と語っている。
人材派遣センターの専門家は、「常に今の会社で働く正統な理由を持っていることが重要」と助言。会社の行く先に不安を抱える時、プロとして自身の経験を正当に評価し、新たなプランを考え出すことも必要だ。