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たった10日でも生涯年金?=元知事や未亡人対象に=特権利用に疑問噴き出す=廃止令発布後も続く不思議

ニッケイ新聞 2011年1月21日付け

 男性は35年、女性は30年以上の積み立てまたは一定年齢に達する事が必須とされる年金を、たった10日の執務で一生受け取る人がいる。少なくとも10州の元知事らの特権利用に、弁護士会などが批判を込めて動き出したと20日付伯字紙が報じた。

 1988年に禁止されたはずの元知事への特権が今も生きている例は、知事としての執務期間が10日や33日での特別年金受領者がいるマット・グロッソ州だ。
 現在も元知事か未亡人15人が特別年金受領の同州での最短記録は、2002年当時の知事の国外出張中、州議会議長として10日間代行のウンベルト・ボザイポ氏。それに次ぐのは、1990〜91年に、やはり州議会議長として33日間知事を代行したモイゼス・フェウトリン氏。2003〜6年に、当時の知事旅行中に6カ月間代行のイラシー・フランサ元副知事も、短期執務で特権に与る人物の一人だ。
 中には、分割以前の同州で知事職に就き、分割後も南マット・グロッソ州知事就任のペドロ・ペドロッシアン氏の様に、二つの州からの特別年金受給の例もある。
 特別年金問題表面化の発端は、1987〜90年に南大河知事を務めたペドロ・シモン上議が、「経済的に大変」との理由で離任後20年も経って年金を申請し、昨年末に2010年11、12月分として4万8千レアル、年頭に13カ月給の一部として4千レアルを受領という19日付フォーリャ紙記事。
 1988年以前には複数の州で認められていた元知事への特別年金は、同年の禁止令発布以降も州単位で継続または新条例発布がなされており、先の2州他、アマパー、セアラー、南マット・グロッソ、ミナス、パラー、パラナ、ペルナンブッコ、ピアウイー、リオ・グランデ・ド・ノルテ州に受給者がいる。
 2007年には最高裁が南マット・グロッソ州元知事への特別年金支給停止命令を出しており、ブラジル弁護士会(OAB)は、07年の最高裁判決を1988年以降に知事となった全ての人物へ拡大適用する様、申請する構えだ。
 シモン上議は19日、上議給引上げ後も特別年金受給を続けるのかとの問いに、3月以降に考えると返答。本来は公務員給や公団・公社からの給与受給者への支給が禁じられている特別年金受領については何の言及も無いが、任期満了の条件すらない特権付与は、国民平均所得とかけ離れた議員給同様、政治家と一般国民との隔たりの大きさを如実に示している。