ニッケイ新聞 2011年1月21日付け
ブラジル中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が19日、ロウセフ政権の初会合で基本金利(Selic)を年10・75%から11・25%に引き上げたと20日付伯字紙が報じた。
長期ローン利用などによる消費加熱を抑え、インフレを抑制するための金利引き上げは、ほとんどの市場関係者が予想していた。
決断後に発表された声明で中央銀行は、今回の引き上げは、〃基本金利調整プロセスの始まり〃であって、すでにとられている対策と合わせ、インフレを目標まで下げるためだと述べた。
ブラジル中央銀行による基本金利の調整は、インフレをコントロールするための一つの策である。金利が上がれば、金融機関からの融資が〃高価なものにつく〃ため、融資を利用した消費や投資を抑制。これによって経済成長が減速すれば、物価が上がるのを避け、インフレを抑える効果が期待される。
レアルプラン導入から17年後の今も、インフレはブラジルにとって大きな負荷となっている。インフレ目標制度を採用したラテンアメリカ諸国のうち、ブラジルは、2008年9月からの世界的経済不況後もインフレを抑えるのに苦労した国の一つだ。
政府は2月に予算の500億レアルの削減を約束した。これもまた、物価の上昇を止める別の対策といえる。
政府支出の増加は国内で流通する通貨増加も意味するからだが、物価が上がれば、金利引き上げの必要が高まり、ドルの流入増加とそれに伴うドル安、レアル高も招く。
市場では、3月2日と4月20日に予定されている通貨政策委員会で再び金利が引き上げられ、年末は12・25%で閉じることになると予想されている。値下がりは2012年からの見込み。
2010年のインフレは、政府によって設定された年間4・5%の目標を上回る5・9%を記録し、過去6年間で最高値となった。中央銀行側は、一連の金利引上げで今年のインフレは4・8%まで下がり、2012年末には目標値に到達できると予測している。