8歳の息子を鎖で拘束=非行に走るのが悲しくて=働く親たちに広まる不安
ニッケイ新聞 2011年1月22日付け
「次の日に息子が泥棒になったなんて聞きたくなかった。それを防ぐには、こうするしかなかった」—。サンパウロ市北部ジャサナンの警察署での事情聴取で、アパレシード・アウメイダ・ドス・サントスさん(35)は、親としての苦悩をこのように吐露した。息子たちに手を挙げたこともないアパレシードさんが息子2人を鎖で拘束したのは、我が子を愛するが故に取った非行を食止める苦肉の策だった。親たちにとり、目が行き届かない所で起こり得る息子の非行は常に心配の種だ。21日付伯字紙が報じた。
アパレシードさんが8歳と9歳の息子2人の足を錠のついた鎖でつないだ19日、その状況を異様に思った付近の住民が警察に通報した。5〜14歳の息子8人の父親であるアパレシードさんは、妻が亡くなった5年前から一人で息子たちを育てていた。しかし、月700レアルの収入を得るため1日10時間の工場勤務を続ける中、子供たちの面倒をみる時間などなかった。
アパレシードさんが仕事に出かけている間に、家出をしては路上で寝、麻薬密売人と一緒に過ごしていた2人の息子は、麻薬取引の手伝いや窃盗にまで手を染めるようになっていたという。こういった状況に耐え切れず、苦肉の策をとったと供述するアパレシードさんは、「絶望のあまりやったこと。間違っていた事は分かっている。それでも、自分の息子たちが悪の道へ進むのを黙って見ているのは、どんなに辛く悲しいことだったか」と、複雑な思いを打ち明けている。
児童虐待に問われたアパレシードさんの処置については今後検討が行われるが、児童相談所に収容された息子8人は、監査期間として数日間、親戚の家で保護される見通し。事件を扱う監督官は「子供たちは父親が大好きで、暴行されていた事実もない」と判断。「子供たちは施設にではなく、親戚の誰かと居るべきだ」と預かってくれる親族を探している。
麻薬密売などの犯罪者が、犯罪活動の中で児童を利用するケースが目立つが、仕事などによる不在で親の目が行き届かない状況も増え、子供の行動に対する親たちの不安が広まっている。