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目に余る公金横領の数々=政権党の勢力拡大に寄与=第2期ルーラ政権で13億R$=国民の血税は何処に消える

ニッケイ新聞 2011年1月25日付け

 17日付フォーリャ紙が国立保健財団(Funasa)を巡る横領を暴きだしたのに続き、23日付エスタード紙が、10の主要公的機関では2007〜10年の4年間に13億5千万レアルが不正に動いたと報じた。

 問題となった公的機関は、Funasaや国立保健基金(FNS)など10機関で、37人の閣僚に次ぐ役職とみなされるこれらの機関の長の座獲得は、政権党の勢力拡大にも直結する様だ。
 第2期ルーラ政権発足時の07年、2006年の大統領選挙に協力した連立与党は、選挙協力の見返りに第1期政権で獲得した役職維持を求めたが、この時点でルーラ前大統領がいくつかのポストで異動を行った事が、ジウマ政権での閣僚ポストやその他の機関の長の座争い激化を招いた。
 これは、大きな金の動く公的機関を統括する長の属する政党が、自党関係者に有利になるような金の流れを作り出したり、業務を通じた党名の売り込みを行う事が可能となるため。
 国庫庁(CGU)が不正な金の流れありと指摘した10の機関中、最大額が動いたのは、統一保健システム(SUS)関連経費を各自治体に配分したりするFNSで、横領が疑われるのは6億6310万レアル。フォーリャ紙が横領を指摘したFunasa以上の金額が不正に動いた訳だが、07〜10年にFNSを統括していたのは、Funasa同様、民主運動党(PMDB)だ。
 アントニオ・パロッシ官房長官は21日、FNS新総裁に労働者党(PT)のアントニオ・C・R・デ・オリヴェリラ氏を指名したが、疑惑額がFNSに次ぐのはFunasaの4億8660万レアルで、以下、国立社会保険院(INSS)の8730万レアル、国立植民農地改革院(Incra)の3140万レアル、郵便局の2110万レアル、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の1900万レアル、ブラジル観光公社(Embratur)の1440万レアルなど。
 07〜10年にこれら主要機関を統括していたのはPMDBとPTが大半だが、ブラジル労働党(PTB)や共和党(PR)の名もあり、新政権でも、各機関の長をどの党が占めるかでしのぎを削る場面展開中だ。
 CGUが不正な金の流れありと指摘した機関やその責任者は、FNSによる救急車購入を巡るサンゲスーガ(吸血ヒル)作戦の様に、連邦警察の捜査対象にもなる。最近では郵便局などを巡る不正摘発がエレニセ・ゲーラ元官房長官失脚の原因となったが、税収は過去最高を記録した2010年に、税収から政府支出を引いたプライマリー収支黒字が国内総生産(GDP)の1・5%だった一因は、議員立法による横領や公的機関絡みの汚職ともいえそうだ。