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経常収支=赤字が倍増し475億ドルに=経済過熱と為替が後押し=過去最高でも中銀は楽観視=国外からの投資が穴埋め

ニッケイ新聞 2011年1月27日付け

 国内消費を含む経済の過熱やレアル高などの要因で起きた経常収支の赤字が2010年はほぼ倍増し、過去最高の475億2千万ドルに達したと26日付エスタード紙が報じた。昨年の赤字は、国外からの直接投資で穴埋めできたが、赤字拡大は今年も続く見込みだ。

 ブラジル経済の回復と発展は先進諸国のそれをしのぎ、国外からの投資家の注目を集めている事は2009年から繰り返し報じられているが、2010年の経常収支赤字が09年のほぼ倍で、過去最高の475億2千万ドルに達した事は、中銀の予想を上回る結果だ。
 輸出入の差額である貿易収支とサービス収支、所得収支、政府間の資金援助などの移転収支を総合した経常収支が赤字続きである事は、ブラジル経済の伸張と安定性の証しでもあるが、赤字倍増は、09年同様、景気過熱と為替が原因のようだ。
 その証拠の一つは、ブラジルから国外への旅行者が使った経費が51%増の64億2千ドルに達したのに対し、国外からの旅行者が費やした金額は12%増の59億1千万ドルに止まり、その差が09年比88%増となった事。外国旅行者の増加や国外での消費増加に伴うサービス収支の赤字増加は、国民所得の向上やレアル高の副産物。輸入が42%増え、貿易収支黒字が20%減の202億6千万ドルに止まったのも同様の理由からだ。
 外国に本社がある他国籍企業による国内収益の本国送金が20%増の303億7千万ドル、ブラジルからの進出企業が現地で借りた事務所や機材などの経費として払ったのが46%増の136億8千万ドルなども、ブラジル経済が好調な証拠。
 一方、経常赤字を埋め合わせ、国際収支のバランスをとるための鍵となるのは、生産部門などを対象とする直接投資や、証券・金融派生品を対象とする投資その他の資本投資と外貨準備だ。
 2010年の場合、中国のSinopecが12月に石油生産関連企業のレプソル・ブラジルに71億ドルの投資を行うなど、鉱業、鉄鋼業を含む直接投資は484億6千万ドルの新記録達成。直接投資9・7%増は中国の6・3%増以上で、ブラジルへの直接投資額は世界6位に向上した。
 通貨政策を担当する中銀は、昨年の経常収支赤字は額面こそ大きいが、国内総生産(GDP)比は2・28%で2001年の4・19%より少なく、危険視すべき4・5〜5%台には程遠いと楽観的。中銀は、2011年の経常収支赤字はGDP比2・84%の640億ドルと予想している。