ニッケイ新聞 2011年2月1日付け
ブラジル北部の港町、パラー州の州都ベレンのサンブラス地区1月29日15時頃、34階建て住居ビル崩落事故が起き、少なくとも3人が生き埋めとなり、7人が軽傷を負ったと30日付エスタード紙が報じた。
31日付同紙では、救助隊が30日4時10分頃、マリア・ハイムンダ・フォンセカ・デ・サントスさん(67)の遺体を発見し、まだ2人の作業員が行方不明だと伝えた。
隣接する民家2軒は崩壊で完全に破壊され、近所の住宅4軒とビル3軒の住民には避難命令が出た。合計127人が避難し、31家族がホテルに泊まっている。
建築請負業者のカルロス・オタヴィオ・リマ・パエス氏は、建設に必要な許可はすべて取っており、不法な点はないと主張。事故の原因は、技術的な調査報告を見ないと分からないと述べた。同社では、すでに建設済みの住居ビル15軒の見直しを発表した。
付近住民は、事故が起きる寸前に強い閃光を見、爆音を聞いたと証言している。
一方、自宅が事故に巻き込まれ倒壊した弁護士のロベルトさんは、建築は違法だったと主張。「工事のせいで家の壁に亀裂が入り、司法当局に陳情書を出したが、取り上げられなかった」と話している。
事故原因究明のための現場検証は、瓦礫の除去及び被害者の場所を確認のあと開始される。
今回の崩壊事故について、専門家は、建築基盤(地盤)の脆弱性が原因ではないかと見ている。高層建築物の力学計算を専門とするハイムンド・ロバト・ダ・シウバ氏によると、ベレン周辺には「地質学的障害」があり、場所によっては上の層が強く見えても、その下の層が弱いことがあると説明した。
高層建築は全国的に増加傾向にあるが、サンパウロ州サントスでは、交通量を制限し、景観を保存するために、新しく建設される高層ビルに対する高さの制限を30%縮小する案が出され、審議されている。