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ジウマ外交の皮切りは亜国=女性首脳2人が初会談=「21世紀をラ米の時代に」=軍政被害者遺族とも懇親

ニッケイ新聞 2011年2月2日付け

 ジウマ・ロウセフ大統領は1月31日、就任後初の国外訪問地としてアルゼンチンのブエノスアイレスを訪れ、クリスチーナ・キルチネル大統領と会談の時を持った。1日付伯字紙によれば、交易関係などに関する協定調印の他、同国の軍政被害者遺族とも初の懇親の時を持つなど、様々な形でジウマ色が表れ始めている。

 ジウマ大統領が初の国外訪問地に選んだのは、同じく女性が統治する隣国アルゼンチン。南米の2大経済大国が手を取り合えば「21世紀をラ米の時代に」する事が出来るとの思いを込めた亜国訪問は、2人の女性大統領にとっても感無量の6時間半だったようだ。
 雨のため、ブエノスアイレス到着が1時間ほど遅れたジウマ大統領一行は、クリスチーナ大統領らが待つ大統領官邸カーザ・ロザーダへ。
 大統領官邸は18世紀初頭のアルゼンチン独立運動の拠点で、様々な政治・経済の舞台でもあった5月広場に隣接。2時間近い大統領同士の会談後に持たれた、1976〜83年の軍政下に夫や孫が殺害されたり消息不明となった遺族代表との懇親時には、クリスチーナ大統領がジウマ大統領をバルコニーに案内する場面もあったという。
 ルーラ政権では実現しなかった軍政被害者遺族との懇親は、ブラジル軍政下での迫害経験者であるジウマ大統領だからこそ実現した。軍政下の迫害の真相追究と迫害者への懲罰を求める人道擁護団体「5月広場の母や祖母」リーダーの一人は、「ジウマ氏とクリスチーナ氏は息子や孫同様の闘士で、共に大統領の座にまで上り詰めた女性」と賞賛して止まない。
 大統領官邸での合同記者会見では、両国が文化や教育、交易面での協力関係を強化する事は南米大陸やラ米の発展にも寄与すると考えるジウマ大統領が、「両国が一致すれば21世紀をラ米の時代にする事が出来る」と発言している。
 環境保全なども含む地域経済発展のため、共同で戦略的役割を果たす事を確認した女性大統領2人は、バイオ燃料を含むバイオ・エネルギー部門やブロードバンドを用いたインターネット通信、ブラジルのパライゾ市と亜国のサンペドロ市を結ぶペペリ・グアスー川の橋建設などに関する協約に調印。大統領間の合意項目の中には、研究用核開発施設建設や電力供給、大衆住宅建設のための特別プロジェクトなどの他、男女平等や女性の権利保護のための誓約署名も含まれていたという。