ニッケイ新聞 2011年2月3日付け
1日に再開された国会で行われた上下院議長選挙で、民主運動党(PMDB)のジョゼ・サルネイ氏と労働者党(PT)のマルコ・マイア氏が選ばれたと2日付伯字紙が報じた。両院議長は一様に、政治改革を最優先との抱負を語ったという。
昨年の選挙で選ばれた新人も含む上院81人、下院513人の議員の初仕事でもある議長選は、予想通りの結果となったものの、ジウマ新政権には懸念を残すものでもあったようだ。
上院議長選は81票中70票を獲得したサルネイ氏の一人舞台。対立候補は8票を獲得した自由社会党(PSOL)ランドウフェ・ロドリゲス氏のみで、白票2、無効票1と発表されている。
昨年から予想されていた通り余裕の4選のサルネイ氏は、再任挨拶でも縁故採用などを指摘された09年のスキャンダルへの言及を避けた。当時約束された改革は中断されたままだが、それでも、最優先課題は政治改革とぶち上げるあたりは百戦錬磨の老練政治家の本領発揮といえる。
一方、新政権下の議会掌握のため、PMDBと交代で議長職をと内諾済みの下院議長選は、政府側の期待通りPTのマイア氏が375票獲得で当選したが、連立与党共和党(PR)のサンドロ・マベウ氏が真っ先に立候補し、106票獲得したのは誤算の一つだ。
本来なら、連立与党が一枚岩である事を強調する意味でマイア氏対野党候補の図を描きたかった政府にとり、マベウ氏の立候補を止められず106票を失った事は、連立与党内に不満分子がいる事の表れ。今後の議会運営で問題を生じさせないためにも、誰がどんな不満を持っているかを突き止める必要がある。
両院では副議長2人と書記4人の選出も各々行われたが、ジウマ大統領が1日に解決を求められていたのは、昨年8月以来欠員が生じている最高裁判事指名の件。
新政権発足前、総弁護庁のルイス・イナシオ・アダムス長官指名でルーラ前大統領と合意していたジウマ大統領も、指名遅延で統一選候補の資格審議などに支障が生じ、個々の判事の負担も重くなっているとの不満に抗し切れず、1日再開の最高裁でセーザル・ペルーゾ長官と協議の上、2日朝、ルイス・フックス高等裁判事を指名した。
フックス氏(57)はリオ州出身。専門は民法で、90年代からリオ州立大学などで教鞭をとっており著作も多数。柔道黒帯、若い頃はロックバンドでギターとヴォーカル担当という同氏は、上院での諮問を経て最高裁判事に任命される予定。