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「私の荷物返して」=運送会社が倒産夜逃げ?!=帰伯者の被害者多数

ニッケイ新聞 2011年2月3日付け

 長年訪日して貯めたデカセギ資金で買った家財一式を同胞が経営する運送会社に託して先に帰伯したが、待てど暮らせど数年間の就労成果が詰まった家財が届かないという事件の被害者が増えている。「会社が夜逃げして引越しの荷物がどこにいったか分からない」—。 怒りを露わにして編集部に駆け込んで来たのは、7カ月前に日本から帰伯した戸崎シゲルさん(61、コチア在住)だ。

 帰伯の1週間前、愛用の電気自転車や釣り道具、仕事着、衣類などを詰めた箱を運送業社「K・K TOMODATYS」(代表取締役=花村カルロス年男、本社=静岡県)に届けた。
 戸崎さんは同社から「(ブラジル到着には)4カ月ほど掛かります」と言われたが全然届かない。そして昨年12月初旬、日本の友人から「その運送会社が倒産した」との衝撃のニュースを聞いた。
 同社サイトによれば、創立はデカセギブーム真っ最中の1993年。静岡本社のほか、愛知、群馬などの集住地にも事務所をかまえていた。「3万1500円からブラジルに引越しができ、追加料金一切なし」の低価格が売りだったが、その商法が破綻したようだ。
 在日デカセギ向けポ語メディア「IPCデジタル」サイトの12月8日付け記事には「1年以上関税に止められているコンテナがある」という。同記事ではサンパウロ市の花村年男社長に電話取材し、「自分の家を国税局に抵当として差出し、その引き換えに止められているコンテナのうち8個を通関させる交渉がほぼまとまっている」との声を伝えている。
 ところが戸崎さんが最近、サンパウロ市事務所に押しかけたところ、もぬけの殻だった。「セグランサ(警備員)に聞いたら『会社は夜逃げした。お前のような人が1カ月間に4人はここに来る』と言われた」と肩を落とす。もちろん電話も繋がらない状態だ。
 運送料の2万5千円も入金済みだが、荷物が日伯どちらの国にあるかすら分からない。ただ「荷物を返してほしい」との思いだ。戸崎さんはその警備員に、同様の被害に遭ったマリンガ在住のルシアーノさんの連絡先を聞いた。
 ルシアーノさんに事情を聞くと、同社についての情報、同様の被害を受けた人の団結を呼びかけるためにその警備員に電話番号を渡したという。「今はただ待つしかない」と言うが、集団訴訟も視野に入れているという。ルシアーノさんの連絡先は、電話=44・9835・5588。