ニッケイ新聞 2011年2月5日付け
【既報関連】ムバラク大統領の退陣を求めるデモなどが続くエジプトで3日、外国人ジャーナリストに対する暴行などが起き、ブラジル報道関係者も3人が暴行や強制送還の処置を受け、他国記者らも避難を要する事態が発生。4日付伯字紙には、死も覚悟したとの生々しい証言も掲載された。
インターネットで意見交換などをしていた若者が起爆剤となったエジプトの政変は、武力行使場面の映像が国外に流れる事を嫌うムバラク大統領支持者による外国人報道関係者迫害などを引起こし、国際社会の更なる批判をかう事となった。
外国人報道関係者に対する行動が起きたのは3日朝。ムバラク支持派の軍人達が、ジャーナリスト達の宿泊先のホテル周辺で、英国のBBC放送関係者を捕え、カメラなどを壊した上、どこかに連れ去る様子を他国の報道関係者が目撃。
ホテルでは従業員らによるカメラやビデオ没収と共に退去を求める動きもあったため、ブラジル記者達も急遽退避したが、1区画行った所で兵士達の検問を受けたという。
エスタード紙やフォーリャ紙、グローボの記者達は、映像消去や記録装置没収などの処置を受けたものの、無事に他の場所に移動したが、南大河州ゼロ・オーラ紙の記者は、暴行された上、機材も破壊されたという。
また、国営報道機関であるTVブラジルのジウヴァン・ロッシャ氏とコルバン・コスタ氏は、2日夜から窓も無い部屋に拘留され、即時帰国を了承する書類に署名させられた上、3日に強制送還となった。コスタ氏によれば、殺されると思った場面は、2日間に3度あったという。
その他にも、CNNやニューヨークタイムス記者の拘留、ベルギー人報道関係者が消息を絶ったなどが報告されており、外国人報道関係者の動きを全面的に規制せよとの命令は同国政府によると考える米国などが、一斉に抗議声明を出した。
外国人報道関係者が宿泊していたホテルは投石も受け、兵士達が全室を捜索。一部報道機関は、治安回復まで担当記者を国外退去させるなどの方針を決めている。
エジプト国内では、体制派と反対派の衝突で死者13人が出た3日、反対派が4日の大統領退陣を要求。カイロ市中心部のタハリール広場では4日、イスラム教の習慣に従い一斉に大統領即時退陣を祈る姿も見られた。
観光客相手にホテルでのショー契約を結んで同国滞在中のブラジルバレー団16人は、一刻も早い出国を望んでいるが、国際便はカイロ経由で動きがとれず、客激減で収益確保が困難になり始めているという。ブラジルでは、アラブ諸国最大の貿易相手国での政変による外交や交易面での変化を懸念する声も出始めている。