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日本語センター=ふれあいセミナー涙でお別れ=多感な時期の〝心〟の触れ合い=4日間の交流通じて成長=着々育つモニター制度

ニッケイ新聞 2011年2月5日付け

 ブラジル日本語センター(谷広海理事長)がサンパウロ市北海道協会会館を会場に開催した「第12回ふれあいセミナー」が1月21日閉講した。開講の様子は既に報じたが、13から16歳の日本語学校の生徒ら100人が親元を離れ、4日間におよぶ共同生活を通じ、交流を深める事が目的だ。初日は緊張、恥じらいからか遠慮がちな姿が見られたが、最後の夜、生徒らは涙をこぼし新しい友との別れを惜しんだ。そんな「多感な時期」の少年少女の〃心と心の〃ふれあいを覗き込んでみた。

 各班での劇づくり、日清味の素工場見学での共同学習、ヤクルト球場訪問などのプログラムを通じ、2日目にはセミナー生徒の笑顔が溢れるようになった。
 3日目の朝は生徒らの楽しみ、東洋街見学に先立ち、ブルーツリーホテル社長青木智栄子氏の講演会が開かれた。なぜ日本語を勉強すると良いのか、そして学習できる事が恵まれた環境であることなどについて、生徒らに語りかけながら話を進めた。
 同街見学、劇発表終了後の同日午後10時頃、真っ暗な講堂に121の灯火が浮かんだ。
 最終日の夜、生徒やセミナーOBで各班の責任者となるモニター10人、教師10人が一人一人ロウソクを持ちこの数日の思いを告げる「キャンドルファイアー」だ。
 日下野良武実行委員長は「多感な時期であるから刺激も大きい」とこの年代でのセミナー参加の意義を語る。ロウソクの火のように生徒たちの感情も敏感に揺れ動く。「僕たちのことを大切にしてくれてありがとう」、ボリビアから参加した生徒の言葉だ。
 涙を流す生徒も多く、「来てよかった」「ここでできた友達とまた会う日を楽しみにしたい」という声が多く聞かれ、普段はあまり目立たない生徒も、マイクを握り立ち上がって思いの丈を話した。
 モニター側からは「友情を大切にしてください。ここでできた友達は忘れる事できない一生のもの」との言葉が生徒に贈られた。
 志村マルガレッチ講師は「皆寝ようとしない。最後の夜は長いんです」と目を細める。夜が更ける中、教師、モニターらもそれにとことん付き合った。
 最終日、講堂清掃の後、開会式が行われ、生徒たちは抱き合い別れを惜しんだ。
 父親が一世である松井瑞樹さん(15、サンパウロ市)は、「日本語を話す友達が欲しかった」とセミナーに参加した。ボリビアの生徒たちは日本語に慣れており仲良くなれたという。
 初のモニターを務めた菅原慶タイグアラさん(18、三世)は、普段サンカルロス日本人学校で講師の手伝いをしている。
 担当した班でいかにコミュニケーションを促すかを意識したという。結果は満足いくものだった。
 中島強志レナットさん(17、四世)は、ミナス・ジェライスのベロ・オリゾンテから参加し、セミナー中一番の元気で皆を盛り上げた。
 「セミナーは感動をくれる。来年はモニターではなく教師の側で参加したい」と胸を膨らませた。第4回目から後継者作りのため導入したモニター制度、その芽が開き始めているようだ。