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高速鉄道入札=政府が電力公社も勧誘=郵政公社の参加に続き=実現を疑問視する専門家も

ニッケイ新聞 2011年2月11日付け

 10日付フォーリャ紙によると、連邦政府はエレトロブラスにも、カンピーナスとサンパウロ、リオデジャネイロを繋ぐ高速鉄道(TAV)建設入札への参加を勧めている。
 予算総額331億レアルの高速鉄道での電力消費量は大きく、80MVA(メガ・ボルトアンペア)の変電所が少なくとも12カ所必要となる。各変電所の電力供給量は一般住宅20〜23万戸分に相当する見込み。
 高速鉄道の入札に参加を希望する各コンソーシアムは、電力会社との交渉は4月に予定されている競売後にと考えていたが、政府が郵政公社の入札参加を認めたことで、事前に提携を結ぶ動きが見られている。
 交渉に関与している人物の一人は、電力会社と高速鉄道が事業提携することで、双方に利益が出るようなプロジェクトがあると話している。
 エレトロブラスはすでに、どのようにプロジェクトに参加できるかの調査を進めており、特定のコンソーシアムに参加し共同出資額の10〜15%を担う、フルナスやChesf、エレトロノルテ、エレトロスウが別々のコンソーシアムに参加するなどの方法が考えられている。また、エレトロブラスの持株会社が落札した企業の戦略的パートナーとして参加する可能性もある。当面は、同公社が中国系コンソーシアムの一翼を担う形での参加が検討されている。
 エレトロブラスの切り札は、最低79億レアルの手持ち資金。このお金は、今年で完了予定だった政府の電気普及計画に利用するため、昨年末まで電気料金と共に徴収することが認められていた還元予備費(RGR)。
 RGRの徴収期間は25年延長されており、口座にある手持ち資金以外に、関連会社への貸付や金融投資に伴う、返済や利息収入も資金の一部に組み込むことができる。
 もう一つの切り札は、自由市場の電力を落札業者に売る権利があること。エレトロブラスが経営権の49・9%を占めるベロ・モンテ水力発電所の場合、発電量の20%は、エレトロパウロやLightなどの配電会社を介さず、自由に売却できる。
 高速鉄道は大口消費者となるため、自由市場に回せる電力に余力のあるエレトロブラスとは、供給電力量や価格を直接交渉することができる。
 高速鉄道のプロジェクト解析にあたる専門家の一人は、電力公社が特定のコンソーシアムに入る場合、公社を含まない大規模消費者となる他のグループとの関係上、参加を正当化するのが難しいだろうと話している。