ニッケイ新聞 2011年2月16日付け
1月22日、パラナ州クリチーバ市で、結婚式直前の花嫁が誘拐され、結婚式が2時間遅れるという事件が起きたと12日付け伯字紙が報じた。
マリエリ・デ・リマ・コレアさんにとり、1月22日は、結婚記念日であると共に、式直前に、髪飾りも付け、指輪をはめ、ブーケを持ち、ウエディングドレスを着たまま誘拐された日として忘れられない日となった。
教育学部学生で28歳の新婦は、20時半からの式開始を、式場である同市ノヴォ・ムンド区のサグラダ・ファミリア教会脇に停めたピックアップトラック『トゥクソン』車内で待っていた。車内には友人夫婦とフラワーガールを務める10歳女児も一緒にいたが、そこに近づいた2人組の誘拐犯が、車内に人がいるのを見、拳銃を引き出して脅した。
マリエリさんは犯人の間にはさまれて前の席、残りの人は後の席に座らされたまま誘拐された。クリチバ市内を走る中、マリエリさんは結婚式があるから開放してくれと頼んだが、犯人の一人は「お前の婚約者はすでに男やもめだ」と脅した。携帯電話を取り上げてバッテリーを外し、チップを割った犯人は、最後には花嫁のブーケまで窓から投げ捨てた。
約20分後、マリエリさんと友人の男性、女児は教会から10キロメートルの所で降ろされた。彼女はすぐに婚約者に電話をしたが、新郎のグラウシオさん(28)は、新婦の話を信じかね、母親に「彼女達は近くにいるけど、ビックリさせたくて嘘をついている」と言ったほど。だが、彼女や友人の携帯電話に電話してもつながらず、新婦がかけてきた電話にかけ直してみたところ、警察の無線の音が聞こえ、事の重大さに気づいた。
もう1人の友人はもう少しの間犯人達に連れ回され、マリエリさんが降ろされた所よりも少し遠い所で開放された。
誘拐後にも関わらず教会へ向かった新婦は、ビアスや指輪などを友人から借り、飾り付け用の花でブーケを作って、無事に挙式。警察は誘拐犯を発見したものの、追跡の末、逃げられたという。