ニッケイ新聞 2011年2月19日付け
政界に何が起ころうと、あまり驚かないけれども、菅内閣の危うさはもう壊滅的な状況に陥っている。この世界では、内閣支持率が20%を割れば、総辞職か衆院解散の二つしかない。ところが、先頃の世論調査を見ると、菅政権の支持率は19%に落ち、国民からすっかり見放されている。それでも、首相から「解散」の言葉はなく、国会の予算審議は進まず永田町には3月危機の暗雲だけが垂れ込める▲参院は自民、公明など野党の議席が多い。所謂—「ねじれ現象」であり、共産、社民なども含めた野党は予算案や関連法案にも反対している。社民党の福島瑞穂党首は、公債発行特例法案に反対すると発表したが、もしこの方針がきちんと守られると、衆院での再可決はできない。そうなれば、一般会計92兆円のうち、38兆円の歳入不足を補う国債が発行できなくなり、国の行政が停止してしまう▲と、菅内閣を取り巻く情勢は厳しい。小沢一郎元代表をすっぱりと斬りたいのが本音だろうが、これも斬るに斬れないのが実情なのである。本来なら「政治とカネ」の悪弊を断ち切るのが筋だが、もし小沢氏と支持議員が離党や造反でもすれば民主党がおかしくなり伝家の宝刀を抜くこともできない▲今年の新年会も菅首相の公邸には40人。世田谷の小沢邸に駆けつけたのは120人。鮪を下ろしての豪華な宴会だったそうだが、この人気ぶりはやはり凄い。ロシアと中国外交では完敗ばかりが目立ち普天間基地も迷走。4月の統一地方選も勝ち目がないの観測しきりだし、3月の政治危機は恐らく現実の物になると見たい。(遯)