ニッケイ新聞 2011年2月22日付け
フランス・パリで18日から主要20カ国・地域(G—20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、食料価格の高騰や、世界経済の不均衡の是正などをめぐっての協議が行われたと20日付エスタード紙が報じた。
G—20は18日夜、イタリア銀行ドラギ総裁の「最近の商品価格高騰は一時的なのか、そうではないのか」という問いかけから議論を開始。19日の会議閉幕後には、トリシェ欧州中央銀行総裁が「商品価格高騰がもたらすインフレ圧力は深刻に受け止めるべきだ」と述べるなど、各国の関心の高さをうかがわせた。
各国は貧困国の政情不安や新興国のインフレなどへの危機感を強めているものの、先進国と新興国などの利害が対立している事も露呈した。
G—20は、4月の次回会合までに、世界経済が不均衡かどうかを判断するための指標の活用法などを議論。11月のG—20首脳会議(サミット)に向け、指針に基づく各国の相互評価によって、不均衡を拡大させないための具体的対策をまとめることを目指す。食料高騰の問題では、作業部会を設置し、価格上昇の要因を分析する。
商品市場に流入する投機資金の規制では、先進国同士の利害対立も表面化。フランスは投機資金の規制や監督を呼びかけたが、同じ食料輸出国でありながら金融依存度が高い米国は慎重な態度。ガイトナー財務長官は、7日に来伯した折、ジウマ大統領と〃食料輸入国のみに恩恵をもたらし、生産国を圧迫する可能性がある〃との認識で一致しており、新興国の取り込みを図る構えも見せていた。
会議閉幕後、ギド・マンテガ財務相は「ブラジルは今回の合意に十分満足している」と述べた。主な理由は、経済の不均衡を測定するための指標の一つに為替相場が包含されたこと。マンテガ財相は「為替相場は欠陥のある金融システムで、通貨や資本の流れと衝突するため、各国に資本を制御する必要を生じさせる」と発言。指標には公的債務や財政赤字、貿易収支などが含まれたが、国際債務や利子収入を含む経常収支や外貨準備を指標外とした事もマンテガ財相を満足させた。
また、18日には、南アフリカが経済発展の著しいブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を合わせた4カ国のいわゆるBRICs(ブリックス)に加入する事が決定された。マンテガ財務相は、「南アフリカはアフリカ大陸を代表する重鎮であり、南アフリカの参入によりグループはさらに強化され、その重要度を増す」と述べた。