ニッケイ新聞 2011年2月23日付け
最近日本から熱い視線が注がれ、あちこちから特集の来伯取材が増えてきたように見えるが、敢えて「カウマ、カウマ」と言いたい。もちろん当地に数年単位で居住する特派員はその限りではない▼マスコミの常で、最初は持ち上げるだけ持ち上げておいて、徐々に様子が分かってくると「期待を裏切られた」などと手のひらを返して叩き記事を連発するパターンがありがちだが、それは避けたい。自戒も込めて書けば、この手のパターンは最初の段階での理解が浅すぎて、勝手な期待感を膨らまし過ぎていた部分も否定できない▼80年代に日本企業撤退の嵐が吹き荒れた時には、「日系はもっと国中枢に影響を持つ存在だと期待していたがガッカリした」とか「日本人の子孫だと思って信用したが騙された気分だ」などの怨嗟の声がままあったと聞くが、やはり過剰な期待だった部分もあるだろう▼当時はまだ二世の時代で、ようやく大卒のエリートを輩出した段階。客観的にみて国中枢との関係構築までは無理だった。40年たって三世時代の今でも中枢に関与できる日系は数えるほどだろう▼人に譬えれば「Bさんは最近成り上がって金回りが良さそうだからお近づきになりたい」と考えたら〃金の切れ目が縁の切れ目〃となってしまう。でも「Bさんは気が合う、互いの弱点を補い合える関係になれそう」との動機なら長期的な信頼が築ける。今回はそうありたい▼リオ五輪などを控えて過剰に期待が膨らんでいるようだが、生活が先進国並みになるまでの道のりはまだまだ遠い。かといって悪い点ばかり強調されても困る。極力〃等身大〃の報道をお願いしたい。(深)