ニッケイ新聞 2011年2月26日付け
市警書記官の女性が監察局のメンバーによって力ずくで半裸にされるビデオの漏洩が原因で、アントニオ・フェヘイラ・ピントサンパウロ州保安局長は24日、マリナ・イネス監察局長を更迭する決断を下したと、25日付伯字紙が報じた。
23日に開かれた市警審議会では、23人の警部の内5人がマリア・イネス長官の更迭を支持。
マリア・イネス警部は2009年3月にフェヘイラ・ピント保安局長本人から監察局長に任命されており、女性としては初の快挙であった。
問題のビデオは、2009年6月に、市警書記官を務めていた女性が、拳銃不法所持で捕まった容疑者を助けるために200レアルを貰ったとして、検察官らの標的とされた時のものだ。
2009年6月に撮られたビデオは30分以上あるが、外部に漏れたのは12分程。ビデオの中には、書記官が警察官に身体調査を了承するが、服は女性警察官の前でしか脱がないと述べている場面もある。
捜査現場には女性監察官は一人としておらず、呼び出された女性警察官が行った着衣のままの身体検査では受け取ったはずの現金が見つからず、終いには、エドゥアルド・フィーリョ警部と2人の警察官が彼女に手錠をかけ、無理やり服を脱がして、50レアル札4枚を見つけた。
現行犯逮捕され、内部捜査を受けた書記官は、供述後、罷免された。
当時の監察局内部では適切な捜査と見られていた事件だが、今回漏れたビデオ映像は、全国的に知られるところとなり、21日にはジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事とフェヘイラ・ピント公安局長が、ビデオの漏洩について「深刻」と判断し、事件に関わった4人のうち3人を、監察局勤務からはずした。
この事件は警察内部で波紋を呼び、関係者処分を求める警察官らの抗議行動も起きる可能性を察知した市警審議会では、何の処分も行わなかったイネス局長を批判する声が出始めていた。
これらの動きを受け、イネス局長を呼び出したフェヘイラ・ピント公安局長は、会談直後に、同氏を監察局長任務からはずし、別の部署に移す事を発表した。
女性書記官の弁護士は今回のビデオ漏洩をさらに追及する構えを見せており、罷免処置も覆そうとしている。