ニッケイ新聞 2011年2月26日付け
地震・雷・火事・親父で建物の倒壊、道路が真っ二つに割れたりする地震がもっとも恐い。あの10万人超の死者がでた関東大震災や阪神大震災の記憶が今も人々の心奥に力強く息づく。勿論、周恩来と毛沢東が黄泉へと旅立った1976年の中国の唐山やハイチ両地震のように死者22万人—25万人を超すような大きいものは、日本にはない▲だが—あの瓦礫の山と真っ赤に燃える火災の悲惨さはいやというほど身に染みている。地震大国ニッポンの悲劇だが、NZ南島のクライストチャーチ市の直下型に近い地震も哀しい。煉瓦造りのビルが倒れ、教会の大きな塔も崩れ落ちてしまった。キー首相は非常事態を宣言、日本も緊急援助隊を派遣し、倒壊ビルの下敷きになっている市民らの救済や医療活動に励んでいるが、現地からの報道によると、相次ぐ余震と降雨のため捜索は難航している▲このため情報も錯綜しているが、これを記している時点で死者は113名、行方不明は200人超に達している。我々—日本人にとっては、富山外国語専門学校の学生らが7人も死去したし、28邦人が安否不明のニュースもあり「なんとか生きていて欲しい」と祈るばかりである。だが、天の災いは、こんな人の情けをも踏みにじる惨さをも秘めている▲恐らく—海外でこれほど邦人犠牲者が多いのは初めてだろうが、崩壊ビルの下敷きになったところから47遺体が見つかった。日本人かどうかは解らないが、援護隊は、災害発生から72時間すぎると生存は難しいとし懸命に瓦礫と闘っている。どうか一人でも多く助かって欲しい。(遯)