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経済閣僚が経費削減案発表=公式額ではR$501億=看板の持ち家政策も対象に=上院は監査委員会を設立

ニッケイ新聞 2011年3月2日付け

 ギド・マンテガ財務相とミリアン・ベウキオル企画相が2月28日、連邦政府関連の経費削減案を発表と1日付伯字紙が報じた。インフレ抑制のための500億レアルの経費削減は前もって発表されていたが、今回発表の具体案には、ジウマ大統領の看板政策である「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ(わが家、わが人生)」関連経費削減も含まれている。

 経済閣僚二人が発表した経費削減案は536億レアルに上るもので、当初の予定に入っていない経費計上分の35億レアルを差し引いた501億レアルが実際の経費削減額だという。
 前政権中に議員立法の形で承認されたが当該議員が退任した案件などを優先して経費削減を行う事は既に言及されていたが、今回の発表に経済活性化計画(PAC)の一部でもある「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ(以下MCMV)」関連経費51億レアルの削減が含まれた事は、周囲を驚かせた。
 と言うのは、ジウマ大統領自身、14年のサッカーW杯や16年のリオ五輪、経済活性化計画(PAC)に関する経費は削減対象としないと発言していたためで、MCMVはPACではないとの説明は、全体で34億レアルの投資削減と共に批判の的となりそうだ。
 経済閣僚は、人件費や失業保険などの必要経費から158億レアル、各省事業計画予算などから362億レアル、承認済み予算の支払い停止や延期などで16億レアルの計536億レアルの削減というが、エスタード紙は、実質的な削減は諸経費96億レアル、投資34億レアルの130億レアルと手厳しい。
 各省予算の削減の中では、自治省の85億8千レアルや国防省の43億8千レアルなどが大きいが、国防予算の削減の中には、伯仏間で合意済みの潜水艦やヘリコプター購入契約の見直し、空軍用戦闘機購入の先送りなどが含まれている。
 また、各省の経費削減の中には、議員立法による予算申請分180億レアルが含まれており、与野党議員からは、当面の払い出し停止には応じても、年の後半になっても予算凍結の場合、それ相応の対応を考えるとの声も出ている。
 今回の経費削減はインフレ抑制が主目的だが、現実には選挙経費などを含むルーラ政権での過剰出費が昨年の基礎財政収支の黒字減少に繋がった事などを重く見る上院議員達が1日、経済審議委員会内に政府支出の監視を目的とする委員会設置を承認した。
 経費削減や政策金利引き上げ、実質ゼロ調整の最賃引き上げ交渉など、財政建て直しに追われるジウマ政権。マンテガ財相は2月26日、ブラジルは昨年並みの7・5%成長を続け得る態勢にはなく、適性成長率は4〜4・5%との見込みと共に、経費削減などのインフレ対策は経済にブレーキをかけるものにはならないとの考えを発表している。