ニッケイ新聞 2011年3月2日付け
空港からの途中で事故に遭ったが、払っていない車のムルタを払わないといけない。お金を振り込んでほしい—。甥と名乗る男の電話を信じて振り込め詐欺の被害に遭った一世の女性が本紙に連絡し、「引っかからないで」と注意を促した。
リベルダーデに住む60代のこの女性。今月1日、昼食後に一休みしているところへ、料金相手払いで電話がかかってきた。
電話口からは若い男の声。最初に「チア」と呼びかけ、「一番年長の甥が誰か分かるだろう」と尋ねた。女性がその甥の名前を言うと「そうだ」と答え、ロンドリーナから飛行機でサンパウロに着いたが、空港からの途中で事故に遭ったと告げた。そして、車のムルタが未納なため支払わないといけないと説明し、3800レアルを指定した口座へ振り込むよう頼んだという。会話はポルトガル語だった。
「本当だと思って銀行に飛んでいきましたよ」とこの女性。「マリア・アパレシーダ」という名義のブラジル銀行口座に金を振り込んで帰宅すると再び男から電話があり、入金したことを告げると、今度はブラデスコ銀行へ6000レアルを振り込むよう頼んできたという。
30分したら電話すると話していたが、その後何の連絡もない。女性がその甥の母親に電話すると、「息子はここにいる」。だまされたことが分かった。
女性は一人暮らし。3800レアルを失ったが、「損したけど、誘拐よりはいい」とふっ切れた様子で話し、「年寄りは引っかかる人が多いと思うから、気をつけてほしい」と注意を促した。