ニッケイ新聞 2011年3月4日付け
1〜2日開催の中銀通貨政策委員会(Copom)が、政策基本金利(Selic)を1月に引き続き0・5ポイント引上げ、11・75%とした。1日付エスタード紙や2日付フォーリャ紙によると、市場関係者は、Selicは次、次々回のCopomでも引上げられ、12・5%になると見ている。
2009年から引下げが続き、一時8・75%にもなったSelicが引上げに転じたのは、2010年4月のCopomからで、現政権では既に2度目の引上げだ。
昨年からのSelic引上げはインフレ抑制のための切り札だが、昨10年の政府公式インフレ指数IPCAは年5・91%に達し、抑制不足との印象を残した。
そういう意味で、市場関係者の中には今回のSelic引上げに0・75ポイントを推奨する人も居たが、最終的には全会一致で0・5ポイントの引上げ。この上げ幅は大半の市場関係者が予想したもので、今後も0・5ポイントと0・25ポイントの引上げがあると見られている。
今回のSelic引上げは、2月28日の経済閣僚による経費削減案発表直後に決められたものだが、500億レアルを超える経費削減を謳ってもなお、0・5ポイントものSelic引上げは、インフレ圧力が依然強い証拠だ。
1日付エスタード紙によれば、多くの市場関係は中銀のインフレ抑制能力を疑っており、もっと強い態度に出る必要を説く声もあるという。
ただ、インフレ抑制は通貨政策担当者のみの責任ではなく、金融政策担当の経済閣僚の責任も大きい。その意味で、2月28日の経費削減案発表は中銀の肩の荷を少し軽くしたといえるが、それでも市場では、経済閣僚は何を切り捨てるべきかを完全には把握していないとの声が出ていた。
その声を反映するかのように、2日付エスタード紙には、ミリアン・ベウキオル企画相が前政権で契約済みの事業についても見直しを命じ、340億レアル相当分がキャンセルされる可能性が出てきたとの記事。ジウマ大統領も2日、連邦公務員の旅費や滞在費などの半減を命じる文書にサインしたという。
インフレ抑制が容易でない事は、企画相が国税庁関係の作業に使うIPCAに、政府目標の4・5%ではなく5%を適用した事でも明らかだ。
Selicの引上げは個人や企業への融資縮小に繋がり、長期ローンを利用した消費の抑制などが期待できる一方、開発投資抑制の可能性や外国投資流入促進の可能性が高く、経済成長促進派からは嫌われるが、そんな中でより高いSelic期待の声があるのは、しばらくはインフレ抑制が困難な印といえそうだ。