ニッケイ新聞 2011年3月4日付け
ブラジル長崎県人会(川添博会長)の定期総会が2月27日午前中に同会事務所で開かれた。2008年に発覚した会の使途不明金問題による財政逼迫でジャバクアラ区の会館を賃貸、事務所を移転した同会。リベルダーデ区の新事務所に移ってから初めての総会となる。当日は約30人が集まった。
先没者への黙祷に続いて挨拶した川添会長は、1年を振り返り、「不祥事には一応の区切りがついた。多くの問題に取り組み、事はなんとか進んで体制が整いつつある」と報告。「今年は実行の年。時間の制約でやれなかったことを実行に移していければ」と抱負を語り、「小さいながらも小回りのきく活動につなげていきたい」と述べた。
母県との人的・物的な交流として、長崎の品物をブラジルで紹介する構想も表明。「県の目は中国や東南アジアに向かっているが、いつかブラジルも必要な存在になる。その礎となる活動を起こす時。大きな会館を持つ県人会でなくともちゃんと活動できるモデルケースに」と述べ、会員の協力を呼びかけた。
開会後、裁判の進捗状況が川添会長から報告された。
元会計理事が関わったとされる使途不明金問題を受け、同会では昨年2月にこの会計と当時の会長の除名を決定、4月に裁判所が訴状を受理した。その後は先方が不足分の書類提出を要求していることなどもあり、大きな進展はない。同会によれば、母県からも事実追及への要望が寄せられているという。
出席者からはこの件に関し、示談を含めた解決策を考えるべきとの意見もあった。執行部は話し合いでの解決に一定の理解を示したものの、すでに訴訟に入っており、会からその話を持ちかける状態にないとの立場を説明した。
昨年は暗いニュースの一方、4月には栗崎邦彦副会長が中村法道知事を訪問、8月には青年部が再開し、初のレジストロ平和灯篭流しやサントス平和記念式典に参加するなど新たな活動も始まった。今年は4、5月ごろに川添会長が母県を訪問する予定だ。
さらに2012年は県人会の創立50周年を迎える。執行部では記念式典の開催を決定しており、総会の席で報告された。
同会の昨年度収支は、収入約9万3千レ、支出約6万千レで、約3万千レを繰越し。今年は約14万2千レの予算を計上し、承認された。昔のままになっていた連邦収税局の登録会長名を変更するなど、先の会計問題にともなう混乱はまだ残っているものの、役員は「会計も健全になってきた。これからもこの状態を続けたい」と話した。
川添会長は、活動を再開した青年部(宗像アレシャンドレ部長)、婦人部(和田さよこ部長)の活動についても、「婦人、青年の活躍がないと会の発展はない」と今後の活動に期待を表した。
終了後は昼食会が開かれ、婦人部による料理などを囲み親睦を深めた。
同会では現在、会報発送のため会員住所リストの整理を進めている。川添会長は「ガラス張りの報告をしたい」と語り、「州外の会員にも会の活動を知ってもらえたら」と話していた。