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聖総領事館=草の根協力が100件目に=総領事館で節目の署名式=「伯社会への貢献嬉しい」

ニッケイ新聞 2011年3月5日付け

 在サンパウロ総領事館による日本政府の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」が100件となり、節目となる契約署名式が2月8日午後にサンパウロ総領事館で行われた。

 在聖総領事館の草の根無償資金協力は1999年に始まり、今年で12年目。この日は99番目、100番目の署名式を実施した。
 一つはサンパウロ州トゥパン市の「養護学校障害者理学療法施設整備計画」、もうひとつはマット・グロッソ州パラナイータ市の「応急処置施設レントゲン装置整備計画」に対するもの。大部一秋総領事、各実施団体の代表者らが出席した。
 トゥパンの案件は、同地APAE(障害者を支える親と友の会、ベネジット・ロドリーゲス・ゴンサルベス会長)が実施し、10万5千659米ドルを限度に資金協力が行われる。
 同団体は現在200人以上の知的・身体障害者に教育や医療・福祉のサービス、症状にあわせた理学療法を実施しているが、現在の施設でのリハビリでは転倒の危険が伴い、療法の効果が出るまで時間がかかっている。新たな理学療法施設では水中運動療法の実現が可能となり、陸上治療のみでは不可能であった多様なリハビリが可能になるという。
 ゴンサルベス会長は、「日本国民の優しさや寛大な心に感謝していることを日本国民に伝えてほしい」と感謝の言葉を述べた。
 パラナイータ市はマ州都クイアバの北約870キロにある人口約1万人の町で、日系のミヤジマ・ペドロ氏が市長を務める。同市の病院にはレントゲン機材がなく、患者は60キロ離れた隣町まで行かなければいけない。さらに途中の道が未舗装で、雨季には通行不能になることが多いという。同市の応急処置施設にはレントゲン室が既に設置されているが、財政難により機材を整備することができない状態だった。
 このたび、機材整備のため5万2千649米ドルを限度に無償資金協力が行なわれ、病気の早期治療、早期発見に繋がることが期待されている。
 ミヤジマ市長は「日系人は謙虚、まじめ、誠実であり、市長として日系コロニアの一員であることを誇りに思い、その責任の重さを感じる」と述べ、謝意を表した。
 大部総領事は署名式の挨拶で、99番目、100番目の草の根協力となることに触れ、25万人の日本移民を受け入れたブラジル社会へ感謝を表すとともに、「このような形でブラジル社会の発展に貢献できることをとても嬉しく思う」と述べた。