ニッケイ新聞 2011年3月10日付け
英国のBBCが27カ国で行った調査で、ブラジルへの好感度が大幅に向上し、ブラジルが国際社会に与える影響を肯定的に受け止めている人の割合は49%となったと9日付フォーリャ紙が報じた。
2010年12月から2011年2月に行われた調査の結果は7日付G1サイトなどでも報じられ、ブラジルが国際社会に与える影響を肯定的に受け止めている人の割合は昨年の40%から49%に向上。9%ポイントの向上は調査対象の16カ国と欧州同盟(EU)で最高の改善率だった。
BBCによると、ブラジルの及ぼす影響への否定的評価は3%ポイント減って20%。27カ国中、ブラジルの及ぼす影響への否定的評価が増えたのはドイツ(肯定31%対否定32%)と中国(肯定的評価が55%から45%に減り、否定的評価が16%から41%に増)の2カ国のみだった。
G1サイトによると、ブラジル内の調査を担当したMarketAnalysis(MA)は、ブラジル外交への評価やルーラ前大統領の人気の高さ、ブラジルの非政府団体(NGO)の国外活動、国際的な金融危機からの早い回復などが、好感度向上に繋がったと見ている。
ブラジルNGOについてMAは、地球温暖化に関する活動が国外で注目を集め、ブラジルのイメージ向上に繋がったという。
また、ブラジルの好感度向上には、国民が自国に対し肯定的な評価をしている事も影響。ブラジルが国際社会に好影響を及ぼしていると考える国民は、2008年の74%から84%に増えている。
一方、27カ国の調査結果をまとめたGlobeScan研究所によると、ルーラ前大統領からブラジル初の女性大統領であるジウマ大統領への政権移譲が円滑に行われた事も、好感度向上に影響したという。
8日付G1サイトによると、ジウマ大統領は英国ガーディアン紙の「感動を与える女性100人」の政治家部門で選に入り、世界で注目される女性の一人。イラン女性処罰問題での「石打刑は残酷」発言や、国連関係の外交官が、アフマディネジャド大統領と対立するノーベル平和賞受賞者のシリン・エバディ氏を昼食に招いた事(8、9日付エスタード紙報道)などはブラジル外交政策の変化と見られ、今後が注目されている。
なお、ブラジルへの好感度の高さで群を抜くのはポルトガルの76%や韓国の68%で、ラ米でも、チリ70%、メキシコ65%などの高率を確保。ブラジルへの好感度向上率が高いのはトルコ29%ポイントやナイジェリア22%ポイントなどで、ブラジルの好感度は、ドイツ62%、英国58%、カナダ57%などに続く7位で、好感度同率の米国は否定的評価が31%で8位となった。好感度向上率でブラジルに次ぐのは南アフリカの7%ポイント。