ニッケイ新聞 2011年3月10日付け
カーニバルが終わったー。かつてはリオ、サンパウロのパレードをかけもちしたり、朝まで街をうろついたり。しかし昨今とんと縁がない。老移民の名(迷?)言〃土人の裸踊り〃とまではいかないが、血沸き肉踊らないのでしょうがない。それはそうとリベルダーデでは頻繁にカーニバルが行なわれていることをご存知だろうか▼文協ビルと援協福祉センターのちょうど間に位置するタグア街で繰り広げられる乱痴気騒ぎだ。近隣大学の学生たちが勉強の疲れを癒すためー否、遊びに来ているとしか言いようがない。音楽を最大音量でかけ、酒やドラッグ何でもござれ▼今週号のヴェージャ紙は、「大学の近くに住むのは天国か地獄か」と表紙に銘打ち、特集を組んだ。日系学生を含む二人が、通う大学の近くで殺傷された事件をきっかけに、各地域の天国と地獄を取りげた▼「もちろん地獄」と顔をしかめる友人は、せっかく購入したアパートを売ることに決め、引越し先を検討中。子供は1歳になったばかり。夜鳴きと騒音で眠れない夜が続く。「署名活動、警察への直談判でも埒があかなかった」。出ることができれば幸運だ。1800レアルの防音窓を取り付けた女性(72)は、雑誌の取材に「気が狂いそうだ」と訴える▼グアラニー・ツピー語でタグアは「黄色い粘土」の意だという。かつて地方の日系学生が住むペンソン街だった。移民子弟が多く通ったコレジオ・パウリスターノもあった。日系子弟が勉学に励むことで将来をこね、形づくっていった青春通りの面影は、アルコールとタバコの煙にかき消されてしまったようだ。(剛)