ニッケイ新聞 2011年3月12日付け
ジョゼ・ロベルト・アルーダ連邦直轄区(DF)元知事が現職知事として初逮捕された民主党(DEM)メンサロン事件の関係者が、06年にジャケリーネ・ロリス下議に現金を渡しているビデオが報道され、職責剥奪も含めた責任追及の動きが具体化している。
5日付エスタード紙によれば、問題のビデオがメディアに流れたのは4日午後。ジャケリーネ夫妻が、DEMメンサロン事件の情報提供者で、DFの元渉外局長ドゥリヴァウ・バルボーザ氏から5万レアルを受け取った様子や会話の内容が全伯に知れ渡った。
ビデオに録画されているのは、06年統一選でDF議員選出馬のジャケリーネ氏がバルボーザ氏から金を受け取った場面で、夫のマノエウ・ネット氏が、これでは足りないと文句を言う様子や札束を無造作にリュックにしまいこむ様子が全て収録されている。
この時の選挙でDF議員に当選したジャケリーネ氏は、昨年の下議選でも当選し、2月に就任したばかりだった。
4日にビデオが流れ、5日の新聞でも報道された事で国内のメディアが俄然注目したのは、ジャケリーネ氏が、昨年のDF知事選に立候補しながら、出馬資格を問われ、最後は妻のウェスリアン氏が代理出馬したジョアキン・ロリス元DF知事の娘である事にも起因。6日以降の新聞は連日、「ロリスの娘の」ジャケリーネ下議に関し、政治改革委員会辞任、職責剥奪への動き活発化、検察庁が最高裁に起訴のための許可申請などの記事を掲載している。
連邦警察が09年に開始した「パンドラの箱作戦」でDEMメンサロン事件が表面化した時期に公開された金の受け渡し場面のビデオは、バルボーザ氏提供の200本近いビデオの内の30本で、ジャケリーネ夫妻のビデオは31本目。
そういう意味で、「パンドラの箱作戦」第2弾ともいえるビデオは、DF政界汚職の根がアルーダ知事時代前からあった事も明示している。
第一段階で公開されたビデオで摘発されたエウリデス・ブリット氏が、受け取った金はジョアキン・ロリス氏と自分の選挙戦でのフェスタ費用と弁明したのを、昨年4月に「恥知らず」と批判したジャケリーネ氏だが、バルボーザ氏は、ジャケリーネ氏は07年から10年の間も金を受け取っていたと証言している。
下院では、倫理委員会設置など、ジャケリーネ氏の罪状や責任追及の動きが進み、下院議長も検察庁に資料請求済み。検察も10日、起訴に向けた手続きとして最高裁に許可を申請など、ジャケリーネ氏を取り巻く環境は厳しさを増している。下議就任後に汚職発覚の同氏の場合、就任前の罪状不問という倫理委員会の原則適用はないとの見方があり、職責剥奪への動きが加速しそうだ。