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東日本大震災=ブラジルからも救援隊派遣へ=被災地域にブラジル人800人=原発事故への不安広がる=帰国者第一便がサンパウロ州到着

ニッケイ新聞 2011年3月15日付け

 11日に日本の東北関東地方を襲った巨大地震は世界中を震撼とさせ、各国からの救援隊も続々と到着。11日以降、第2次世界大戦以来の国難で死者は1万人を超えるとの見解や、福島第一原発の原子炉建屋(たてや)爆発の様子まで、刻々と変わる状況をブラジルメディアも継続して報道している。

 菅総理が「第2次世界大戦以来の国難」と表現した大震災は、現実には日本の国難というより、国際的大惨事との見方の方が一般的で、ブラジル紙も連日、第一面に写真を掲載して報道している。
 オバマ米国大統領ら各国首脳は次々に遺憾の意を表明して支援を申し出たが、ジウマ大統領も菅総理に親書を送り、消防士80人、鑑定士30人、警察犬30匹からなる救援隊派遣準備中とは13日付サイト報道だ。
 被災地では今も氷点下を記録する寒さの中、ストーブや燃料が確保できず、暖をとる手段は毛布や布団のみという人々もおり、食料品や水の不足も深刻だ。
 ブラジルからの出稼ぎ者は比較的少ない地域だが、ブラジル大使館によれば、宮城県在住登録187人など、東北地方太平洋側に居るブラジル人は約800人。12日付エスタード紙は、茨城県石下町の体育館だけでブラジル人避難者が50人以上いたと報じている。
 ベガルタ仙台や鹿島アントラーズ、柏レイソルなど所属のサッカー選手や監督、モデルなどが、地震直後にブラジルの家族達に連絡を取った内容などは11日付サイトでも報道された一方、家族や親族と連絡が取れずやきもきする人々も多いが、ブラジル大使館の報道によれば現時点ではブラジル出身の死者は出ていない。ライフラインは徐々に回復してきており、新聞紙上でも家族と連絡が取れてほっとしたとの声などが掲載され始めている。
 また、14日のグローボ局ニュースは、地震後の帰国者搭載第一便がサンパウロ州グアルーリョス空港に到着した様子を放映。ブラジルの家族も迎えに出、帰国した人々と涙に暮れて抱き合う様子や、日本での体験を生々しく語る様子が繰り返された。
 グローボ局によれば、26、27日には、サンパウロ市リベルダーデで地震と津波の被災地再建のための寄付を募るフェスタが開催される予定だ。
 なお、日本のNHKの報道とブラジルや英語圏のメディアの報道とで温度差が目立つのは福島第一原発の爆発事故の扱いで、放射線漏れも含む情報公開を嫌がる日本政府に対し、原子炉を覆う建屋爆発の様子などを克明に報ずるブラジルその他のメディアの動きが目立つ。
 安全性は問題ないと言いつつ避難域を拡大した日本政府の対応には日本国内からも疑問の声が出ている中、ブラジルでは放射能汚染の可能性のある地域在住のブラジル人は383人などの報道が続くなど、原発の安全神話への懸念が世界中に広まり始めているのが現状だ。