ニッケイ新聞 2011年3月18日付け
米国のバラク・オバマ大統領が、今回の来伯でブラジルの民主主義への移行を取り上げ、アラブ地域への例えとする意向だと17日付エスタード紙が報じた。
オバマ大統領はブラジルとチリの民主主義への移行の成功をアラブ地域に対する成功例として取り上げる考えで、19日から21日の南米訪問の間、ブラジリアとサンチアゴ両市で、中東と北アフリカの指導者に対して、国民が求める民主主義の政府と市民権の遵守を選択するよう主張することになりそうだ。
ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)西半球問題担当上級部長ダニエル・レストレポ氏は、「ジウマ・ロウセフ大統領自身、民主主義への移行の成功を表している」と述べ、ジウマ大統領が、ブラジル軍事政権(1964年〜85年)下でゲリラ活動をして逮捕され、拷問を受けたことなど、ジウマ大統領の過去に言及した。
ホワイトハウスは、ラ米地区の雰囲気はジウマ大統領の当選で変わっており、過去2回(2005年、2009年)同地区を訪問したアメリカ大統領が、ベネズエラのウゴチャベス大統領を軸とした反米派の指導者と対峙した時のような難しさはないと考えている。
一方、同日付フォーリャ紙によれば、大統領宮殿では、今週末のオバマ大統領の訪問に対して悲観的な見方が広まり始めている。二国間の関係に新しい章を展開するスピーチにもかかわらず、ブラジルにとって関心のあるテーマについての協議には積極的でないことに不満を表している。
また、オバマ大統領はリオ市のスラム街を訪問する予定を立てていたが、オバマ大統領のスタッフがシダーデ・デ・デウスを選んだことで、リオ州保安局長には新たな頭痛の種が増えた。
平和駐留部隊(UPP)が設置されて2年たつシダーデ・デ・デウスでは、拳銃や麻薬は以前のように見られなくなったものの、住民と警察官との間での紛争が頻繁に起きている。
最後の紛争はカーニバル後に起きており、パーティーの騒ぎを抑えるために呼ばれた軍警察が、集団を解散するために上空へと発砲する場面もあった。住民の中には、警察官に空きビンなどを投げつける人達もいた。