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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月22日付け

 津波の怖さを改めて思い知った。あの大震災が起こり、行方不明と死者の数が発表され始めた頃から—阪神淡路の犠牲者を越えるのではないかと思ったのだが、あれから1週間がすぎた18日、死者は6911人となった。不明は1万人を超しているので死者はさらに増えるだろうし、すでに2万人を超したし、日本の歴史に残る最悪の可能性が極めて高い▲いや、あの「明治三陸津波」の死者2万1959人をも突破する惨事と見た方がいい。宮城県の竹内直人・県警本部長は「県内の死者は1万5千人超かも」とし「遺体は1日1千体のペースで収容」と語っている。宮城県の石巻市や南三陸町などの被災地は目も当てられないような酷さであり、さながら乱離骨灰の惨状が広がる。この市や町には、襲い掛かる海の怒涛を防ぐ手立てはない▲押し寄せる荒波から避難する時さえをも奪われ、情け容赦なく人の命を掠め取って行く。漁船は高波に弄ばれ転覆しゆらゆらと浮かぶ。海岸近くの家は、土台から崩れ、一家団欒の家族らも波頭へと拉致するかのように攫う。福島原発の危うさは、筆舌を超えた。非常時には炉心が高温になる恐れがあり冷却装置が付いているのだが、これを動かす装置が、停電のために発動しない▲だが、これも外部の電力と接続できたので最大の危機脱却に光明が—と見たい。まだ放射能漏れもあるが、余り過剰反応しないことが大切だ。それに、交通や通信なども少しずつ復旧している。食料品も徐々に集まりだしたし、ここ暫くは苦しいだろうが、とにかく歯を食い縛って頑張り復興に立ち上がって欲しい。(遯)