ブラジルが調査団派遣に賛同=対イラン外交に変化?=人権問題に関しては黙さず=イスラム諸国からは苦情も
ニッケイ新聞 2011年3月26日付け
24日の国連人権理事会で、ブラジルがイランへの調査団派遣に賛成したと25日付伯字紙が報じた。ルーラ政権では対話を強調し、常にイラン寄りと見られていたブラジルの変化に、欧米諸国からは賞賛、イスラム諸国からは苦情の声が出ている。
ウラン濃縮問題で国連が対イラク追加制裁を決議した時も棄権など、前政権では、イランを刺激せず対話をと強調してきたブラジルが、人権侵害についての調査団をイランに派遣する事に賛成した事は、国際社会には驚きでもあったようだ。
ルーラ政権に限らず、人権理事会とその前身の人権委員会の対イラン関連決議では、2001年以降、棄権の立場を取り続けてきたブラジル。唯一の例外は、2003年の国連総会第3委員会で人権侵害問題が取り上げられた時で、それ以外は、イランとの通商関係強化など、イラン寄りの姿勢を強めてきていた。
そんな伯イ関係に変化が見られるようになったのは、昨年の国際社会をゆすったイラン女性の石打刑問題以降の事だ。
同件を巡る国連の非難決議でもブラジルが棄権した事を見て不満の声を上げたのは、大統領選を終えたばかりのジウマ現大統領で、「各国の文化、習慣の問題とはいえ、石打刑は野蛮極まりない」との発言は国内外でも注目された。
そういう意味で、今回の人権理事会決議に大統領の意向が反映されたのは当然ともいえるが、ブラジル国連大使らに人権理事会での調査団派遣賛成の指示が出たのは、理事会直前。昨年と同じ顔ぶれでありながら今度は賛成という変化に、人権問題を扱う非政府団体(NGO)や欧米諸国からは賞賛、イランなどからは苦情の声が出るのも無理からぬところだ。
アモリン前外相は、理事会決議後も、人権侵害問題はモラルの問題であると共に政策問題でもあるとして、懸念の色を隠さないが、マリア・N・F・アゼヴェード国連大使は、ブラジルはイランに十分な時間的猶予を与えてきたが、イランは2005年以降、人権調査団の入国を拒否し続け、国際社会に協力する姿勢を見せていないと発言。
ブラジルはイランとそれ以外の国を同じように扱っているだけだとも述べて正当化したが、一部識者からは、イラン懲罰決議ではなかった事がブラジル政府の決断を容易にしたとの声と共に、調査団派遣に賛成票を投じて国際社会でのイメージを変える事で、安保理常任理事国入りへの障壁を少しでも取り除こうとしたとの見方も出ているようだ。