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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月26日付け

 このところ三陸大津波や福島原発の暗く辛いニュースばかりが続きいささかうんざりしているが、やっと12知事を選ぶ統一地方選が始まった。これとても、岩手や宮城などは、震災の影響で延期となったし、こんな災害があるために選挙運動も派手なものではなく、公約も震災対策に重点を置くというのは、何とも寂しいような気もする▲この東日本大震災の被害額は25兆円にも達するとされるから、これは国にとっても大変な痛手だし、復興に向けた歩みも一直線に進むのかどうか。あの関東大震災の復興再建を指揮したのは、故・後藤新平だが、その構想は大きく、道の幅を100メートルにするなどの凄い計画であり、膨大な予算が必要だった。このため後藤新平の描く夢は「大風呂敷」と痛罵されもした▲今、政府が取り組むべきは、この「大風呂敷」をよく噛み締め国家100年の土木工事を考えるときではないのか。先頃、東京電力かの計画停電に協力を求めて蓮舫大臣が石原都知事を訪問したときに—都知事は「行革刷新担当相としてあなたが否決した東京湾の津波防止は大切なものですよ」の言葉を残し、会見予定の15分を5分で切り上げたそうだ▲石原構想は大きい。400年に一度と予想される津波に備えて200年をかけて防波堤などを建設し津波から東京と首都圏を守るという遠大な計画であり、これこそが国家100年の政策なのである。近頃は、きょう始めて明日は完成するとかの安っぽい成果ばかりを誇る政治家だけが目立つが、石原慎太郎氏のような本物の政治こそが、今の日本には、大切なのだ。(遯)