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6期連続の下議に罷免請求=差別発言に社会が反発=弁護士会や議員団も反応=気にしてないと言うけれど

ニッケイ新聞 2011年4月1日付け

 3月28日放送のテレビ番組で、黒人や同性愛者を差別する発言をしたとして、リオ州から6期連続選出のジャイール・ボルソナロ下議に対する罷免請求が出されたと3月31日付伯字紙が報じた。同下議は30日、テレビでの発言は誤解に基づくものと釈明したが、周囲の目は本人が思う以上に厳しいようだ。

 バンデイランテス局の番組CQCでの問題発言は、ジウベルト・ジル元文化相の娘で歌手のプレッタ・ジル氏から「息子が黒人女性と恋愛関係におちたら」と訊かれた時の回答などで、同歌手はもちろん、弁護士会や議員団からも責任追及の声が上がっている。
 番組の中で、録音済みの質問に答えていたボルソナロ下議は、P・ジル氏の質問に、「自分の息子達はきちんとした教育を受けており、あなたのような環境には生活していない」「黒人女性を愛するようなら乱交だ」と答えた。
 問題となった質疑の前には、自分の息子が大麻を吸っているのを見つけたら「制裁を加えるだろう」など、軍出身者である事を感じさせる発言もあったが、特に騒がれたのは、「息子が同性愛者だったら」という質問と、P・ジル氏の質問への回答だ。
 同性愛者の息子を持ったらどうするかについては、「考えた事もない。私は息子達をきちんと育ててきたし、親がきちんと躾をするなら、そんな事は起こり得ない」と回答。P・ジル氏の質問にも、「そんな事は起こらない。私の息子達はきちんとした教育を受けており、あなたのような嘆かわしい環境で生活してはいない」と答えた。
 この答に、P・ジル氏が「自分や自分の家族に対するだけではなく、全伯にすむ同性愛者や黒人への差別発言だ」と激怒し、同下議を起訴するとトゥイッターに書き込んだ事は3月30日付エスタード紙などでも報じられ、同じ日に、弁護士会や約20人の国会議員団罷免請求を提出した。
 このような動きにボルソナロ下議は、彼女の質問を誤解した故の発言で「本当に黒人を差別しているならあんな発言は絶対しない。私の妻は混血だし、舅は混血以上に黒人に近い」と釈明。
 その一方、同性愛者については、批判は気にしないとしつつ「同性愛が一体何をもたらすと言うんだい。結婚や養子縁組か。同性愛の子供を持つのがすばらしいと言うなら、その子が家族の誇りになるか考えてみればいい。(同性愛は)良いものなぞもたらさない」と反論したという。
 同下議の弁明は単なる言い逃れととる国会議員の一人は、「社会的な責任を問われて怖くなった臆病者」と批判。同下議が委員を務める人権・少数者委員会委員長のマヌエラ・ダヴィラ下議は罷免請求にも署名しており、「他者の人権を認められない人物に同委員会メンバーを務める資格はない」としている。