ニッケイ新聞 2011年4月2日付け
ブラジル日本商工会議所(中山立夫会頭)は3月11日に第61回定期総会と月例昼食会をサンパウロ市内ホテルで開催した。総会では事業、収支等の承認のほか、任期途中に会頭が退任した場合に対応するための定款改正案が出され、承認された。続く昼食会では大部一秋在聖総領事が日本政府の官民連携について講演を行った。
総会には約130人が出席。冒頭、リオ州水害の犠牲者と、同日日本で起きた東北太平洋沖地震の犠牲者に対し1分間の黙祷が捧げられた。
定款の改正は、今年から理事の新しい任期が始まったところで会頭、副会頭などの人事異動が発生したことを受けて行われたもの。活動の継続性という観点から、会長の職務権限に「会頭が任期中に辞任する場合は、副会頭、専任理事の中から後任を指名する」点を追加することを主とする改正案を松田雅信総務委員長が説明し、挙手多数で承認された。
中山会頭が昨年度事業について報告。昨年は移転価格税制暫定法への対応に追われる一方、日伯貿易投資促進合同委員会、日伯経済合同委員会などを通じて両国間ビジネスの円滑化に向けた活動を推進。日伯経済交流の促進を加速させた年だったと位置づけた。日系団体の会合等にも積極的に参加して交流。創立70周年記録集(日語版)も完成した。今年はポ語版の作成を予定している。
昨年度収支は収入約177万レ、支出約159万レ。会員企業が306社から321社に増加し、出版委託業務も好調だったことから当初見通しを大きく上回る約17万レを繰越した。今年度予算では約189万レの収入を予定している。
今年の活動方針としては、開かれた会議所、チャレンジする会議所、全員参加の会議所を基本方針に、会員増加と財務体質・活動内容の改善、他国の会議所や経済団体との連携強化などを挙げ、さらに経団連や伯工業連盟との連携を強め日伯関係の強化・拡大に寄与するとしている。中山会頭は「一致団結して、会議所の発展のため協力をお願いします」と述べた。
総会に続き、定例昼食会を開催。はじめに中山会頭が、5月17、18両日にサルバドールで日伯経済合同委員会が開かれることを紹介し、参加を呼びかけた。
前田一郎日系社会委員長が、リオ州水害への寄付活動について報告。会議所からの義捐金は約64万レ、物資は約19万レ分で、本社などからの寄付約43万レを加え、約126万レをリオ赤十字を通じて送ったと報告し、協力に感謝を表した。前田委員長はさらに、東北太平洋沖地震についても「後ほど義捐金をお願いすると思う」と述べ、協力を依頼した。
「官民連携について」と題した講演で大部総領事は、昨年6月に閣議決定した「新成長戦略」にある、鉄道、水など「パッケージ型インフラの海外展開」について紹介。外務省では「自由な貿易」「インフラ海外展開」「資源・エネルギー・食料の安全供給」「観光」、さらに「ジャパンブランドの発信」などを経済外交の柱と位置づけていると述べた。
インフラ展開に関し、日本政府ではJICAやJBICを通じた融資機能の強化、ビジネス環境の整備等を通じて企業支援を行っていることなどを説明。また、最近の動きとして、地デジ日伯方式の南米・アフリカへの普及、セラード開発の経験を生かしたモザンビークの農業開発プログラム「プロサバンナ」、官と民がパートナーを組んで事業を行うPPP(Public Private Partnership)によるインフラ事業の調査や、貧困層を対象にしたBOPビジネスの連携促進などを挙げた。
総領事は、「官民の連携は今までになく要求され、効果的な状況になっている」とし、「引き続き、我々にできることを最大限にやっていければと思う」と締めくくった。