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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年4月2日付け

 福島原発の事故については、米大統領が天皇陛下に見舞いの親書を送り、仏大統領は訪日し菅首相と会談。救援に全面的な協力を約するなど世界の国々から支援の声が届き、特殊ロボットや原子炉を冷却するために米軍の艀船が現場に着くなど多彩な取り組みに汗を流している。それでも、放射線量は流れ、敷地内土壌にはプルトニュウムと危機は高まる▼こんな厳しい状況を反映してか、東電の勝俣会長が、原発1〜4号機を廃炉すると言明した。これは大英断であるが、政府には5〜6号機も廃炉の方針が強く、福島原発の十字架は重い。廃炉と簡単に云うけれども、これには莫大な経費が必要であり、時間も50〜100年と指摘する専門家が多い。経費も1兆円と途方もない金額であり、5〜6号機もとなればさらに膨らむ▼日本ではすでに東海発電所(茨城県東海村)と中部電力の浜岡原発(静岡県)で廃炉工事が進んでいるが、経費は800億円を超えており、最終的な廃炉は、30数年を見込んでいる。福島が50〜100年となるのは、炉心溶融のためであり、工事そのものがとても難しい。目下のところ、炉心を冷却し高温になるのを回避し、約5年後に本格的な作業に入るらしいが—と、難航が続く▼あの関東大震災の復興では、故・高橋是清氏が英国などで日本国債を売り、資金にしたそうだが、今回も同じ手法をとるかもしれない。それに—東電がこれほどの膨大な資金を調達できるのかの疑問もある。政界で国営論が賑やかなのも、こうした面への配慮が強く、東日本大震災は将に国難なのである。(遯)