ニッケイ新聞 2011年4月6日付け
3月12日に軍警隊オペレーション・センター(Copom)に掛かった一本の電話で、警察官による殺人現場をリアルタイムで通報した女性がいたと、5日付エスタード紙などが報じた。
彼女は、「もしもし、今、私はフェラース・デ・ヴァスコンセイロスのパルメイラス墓地にいるのですが、今さっき、軍警察の人たちが男の人を車で連れてきて、車から降ろした後、男性に向け発砲した。私は父の墓の横にいます」と話しており、彼女の立っていた場所からは警察車両のナンバープレートや登録番号は見えなかった。
しかし、彼女は電話で話している間も慎重かつ冷静で、「もう少し待って、今彼らがこっちの方を通るみたいだから。私まで殺されないと良いけど…。ナンバーは、DJM0451、登録番号は29411、M29411」と伝えた。
目撃者がいたことに気付いた警察官の一人は証人の方へと近づいた。彼女は勇気を出し、「あなたがあの警察車に乗っていたのですか? 発砲したのもあなたですか? 私は見ていました。今軍警察に通報しています」と述べた。
これに対し、警察官は被害者を救助していたと話し、彼女を警察署へと連行しようとした。
彼女は、「救助していた? それは嘘だ。あなたとは話したくない。自分で何をしたのかわかっているのですか」と同行を拒否した。
事件後、問題の警察官2人は、サンパウロ市東部の50番警察署で、強盗の後、抵抗し死亡との報告書を提出。強盗犯は逮捕に抵抗したと述べている。
報告書によれば、軍警のアイルトン・ヴィタル・ダ・シルヴァとフィリッペ・ダニエル・ダ・シルヴァ両氏は、Copomからの要請でサンパウロ市東部のイタイン・パウリスタで起きた強盗事件の犯人を警察車両M29411(墓地でみられたのと同じ番号)で追跡していた。白いバンに乗った犯人は団地に入ろうとし、門を破ったが2台の車にぶつかった。犯人はバンから降り発砲しながら逃げたが、警察官と撃ち合いになり負傷。搬送された病院で亡くなった、と記載されている。
今回の通報と警察官2人の話のつじつまが合わない事から、報告書に記入されていることは真実ではないと判断され、二人は逮捕された。
軍警司令官によると2人の罷免の有無は45日の間に決断される。
5日付G1サイトによれば、警察官の不正の可能性を示す証拠を見つけて訴えようとしていた男性の遺族は、口々に通報した女性の勇気を称え、感謝しているという。