ニッケイ新聞 2011年4月7日付け
「いやあすいません。前々から準備してたもんですから…」。やきそば祭りを主催する団体関係者が来社時、苦笑いしながら頭を掻いた。経営に四苦八苦する福祉団体も恒例の慈善イベントで申し訳なさそうに義捐金箱を置く。日本を覆う自粛ムードがコロニアにも伝播している▼小欄で以前触れたが、イベントを中止、延期する団体も多い。今年創立50周年を迎える茨城県人会は知事の来伯中止を受け、記念行事をキャンセルした。これは自粛ではなく、母県で被害に苦しむ家族を持つ会員も多く「お祝いする気分ではない」というのが本音だろうが▼日本の全国紙のコラムで「現実に戻るべき」との主張を読んだ。被災地はともかく、直接の被害のない地域の消沈ムードは日本全体の経済にも影響し、悪循環をもたらすとの指摘もある。東京都が花見の自粛を呼びかけたことで「行き過ぎ」との批判も出ている。計画停電の影響もあろうが、逆の発想をすべきでは、とも思う▼花見大いに結構。杯と胃の腑を東北産の酒肴で満たせば、立派な支援になるのではないか。そもそも飲んでさわぐことが花見の本来ではない。自然の移ろいを感じ、愛でる—自然を軽視してきたつけを払わされている我々の傲慢ぶりを反省する機会にしてもいい▼中止を求める声を退け、県連は『日本祭り』の実施を決定した。テーマは「食と健康」。放射能問題で日本からの食品輸入規制問題もあり、時宜にかなう。一番日本と近い団体だけに様々な企画を実行委にお願いしたい。内外メディアも大いに利用し、コロニアから元気を送る『日本〃支援〃祭り』になればいい。(剛)