ニッケイ新聞 2011年4月9日付け
【リマ共同】フジモリ元大統領の長女ケイコ氏が出馬しているペルー大統領選は10日実施される。左派の元軍人ウマラ候補をケイコ氏とトレド前大統領が追う展開で、上位2人による決選投票にもつれ込むのは確実。直前の世論調査ではケイコ氏が僅差でトレド氏を上回っており、決選に進む勢いだ。
即日開票されるが、結果判明には時間がかかる見通し。当初無名候補だった父のフジモリ氏も1990年大統領選の決選投票で、後にノーベル文学賞を受賞したマリオ・バルガス・リョサ氏を逆転しており、父娘2代の日系大統領誕生の可能性もある。決選投票は6月5日に行われる予定。
先住民系のウマラ氏は前回大統領選も1位で決選に進んだが、ベネズエラの反米左翼チャベス大統領が支持を表明したことで、左傾化を嫌う国民がガルシア現大統領支持に回り逆転負け。今回は同じ中南米左派政権でも穏健派のブラジル・ルーラ前大統領型の政権運営を掲げ、支持を広げている。
ただ、米国との自由貿易協定(FTA)見直しなど急進的な公約を打ち出していることから、財界を中心に懸念も強い。ケイコ氏は貧困層など父の支持基盤を受け継ぐが、父の強権的な政権運営を嫌う国民は今も多く、決選で争う場合は激戦が予想される。
同時実施の国会議員選(定数130)では、前回選で有力大統領候補を出せなかったフジモリ派が第1党をうかがう。フジモリ氏の次男ケンジ氏が出馬している。