ニッケイ新聞 2011年4月12日付け
10日に投票、即日開票が始まったペルー大統領選挙は、11日午後3時過ぎ、開票率78%の段階で、左派の元軍人オジャンタ・ウマラ氏が30%を獲得し首位。2位は23%獲得のケイコ・フジモリ氏で、6月5日の決選投票はこの二人で争われることになる。
11日付伯字紙や各紙サイトによると、11日未明の時点での2位争いはペドロ・パブロ・クチンスキ元首相がリードしていたが、開票率77%の時点では、殺人罪で服役中のフジモリ元大統領の長女で国会議員のケイコ・フジモリ氏が21%、クチンスキ氏19%となっていた。
事前調査ではウマラ氏とケイコ氏が決選投票へ進出すると思われていたが、開票率18・22%の時点ではウマラ氏が26・6%で首位。続いてクチンスキ氏が24・5%、ケイコ氏が21・1%で、ケイコ氏の決選投票進出は無理かと思われたが、二人の差は時間の経過と共に縮まり、やがて逆転。11日午後の時点で、両者の差は開きつつある。
48歳のウマラ氏は、2006年の大統領選に初出馬。第1回投票ではトップだったが、決選投票で現職のガルシア氏に敗れての再挑戦だった。ウマラ氏は「ペルー国民が変革を求めたことを祝おう」と支持者に語り、「我々はペルーを一団とするため譲歩する意思もある。この国を変えたいと思う政治勢力とは話し合い、共にがんばりたい」と付け加えた。
一方、35歳のケイコ氏は、フジモリ元大統領時代(1990〜2000年)からのペルーの成長を取り上げ、「父のお陰で今のペルーがある」と主張。父親退任後の10年間は、貧困に無関心な失政が続いたとのケイコ氏の批判が、トレード元大統領の落選に繋がった可能性もある。
先進国の技術導入に積極的な技術主義のクチンスキ氏は、「恐竜時代のような解決方法は必要ない、今のペルーの人たちは現代性を必要としている」と述べていた。
ウマラ氏とケイコ氏は共に貧困層が支持基盤。ペルーでは貧困率も減少傾向といわれるが、10日付エスタード紙などは「貧困脱出の道のりはまだ遠い」と報じている。
世論調査では、決選投票では、ウマラ氏を敬遠する勢力が結集するとの声もあり、ケイコ氏周辺では、親子2代の日系人大統領誕生かの声が高まってきている。