ブラジル日本語センター(谷広海理事長)は3月26日、創立25周年を記念した日本語教育功労賞の授賞式をサンパウロ市の同センターで開催した。5年ごとに実施される同表彰。23人の日本語教師のほか、各地の日本語教育発展に尽力した6氏、特別功労賞2氏に賞状を贈り、その功績を称えた。
表彰式はセンター通常総会に続いて行われ、JICAサンパウロ支所や国際交流基金ほか、文協、援協など日系団体から来賓が出席。冒頭あいさつした谷理事長は、9年になる任期中の協力に感謝した。
理事長はまた、東日本大震災で日本人の冷静な対応が称賛されていることを「先祖の素晴らしい考えが生きている」とし、「教師が教育の現場で、誇りや謙虚、足るを知るということを口で言わずともこつこつと日本語を教えながら教えてきた成果」と語った。そしてこの日の受賞者に対し、「広いブラジルでも心は一つ。胸を張って表彰を受け、子や孫にも誇りにしてほしい」と言葉を送った。
続く来賓あいさつで山下譲二文協副会長は、「教育関係者の日本語普及への尽力があったからこそ、100年経っても日本的な要素が残り、その日本的な要素が移民百周年で祝福された」と称賛。自身が同センターの仕事をした時に触れた教師たちの熱意と情熱に敬意を表した。
柳森優名誉理事長(92)は創立時からの歴史、会館購入を支援した橘富士雄旧南米銀行会長の思い出などを振り返り、基金やJICAなどの協力に感謝を表しながら、「センターが今後ますます、ブラジルだけでなく海外においても活躍する団体になってほしいと切望している」と述べた。
続いて谷理事長、来賓から受賞者一人ひとりに賞状が伝達。受賞者を代表してトメアスーの高松シヅ教師は、指導対象が移民子弟から、日本語が分からない世代、ブラジル人の成人へと変わる中、「教師は指導法改善のため暗中模索、試行錯誤を繰り返し、現在の日本語教育の姿を確立してきた」と話し、「日本語センター関係者や教師の日々の努力、JICAなど各機関の支援があって今日の日本語教育の発展がなされたと思う」と謝辞を述べた。
式典終了、記念撮影後はセンター中庭で夕食会が開かれ、シュラスコや手作りの料理を楽しみながら歓談した。
特別功労賞を受けた佐藤吉洸さん(72)はサンパウロ市の「ひまわり学園」で教える傍ら、長年センターの理事として活動し、聖西日本語教育連合会の会長も務める。「周りの皆さん、先生に支えられてやってこられた。私の仲間を代表してもらったと思う。皆さんにお礼の言葉を言いたい」と受賞の感想を語り、「生涯現役のつもりで、これからもモチベーションを失わずやっていきたい」と話した。
佐藤さんのほか今回は、福岡市の人材育成会社経営者で02年からセンターへ寄付を続けてきた高原要次さんにも特別功労賞が贈られている。
一般の部で功労賞を受けた谷口史郎さん(69)は南マ州ドウラードスの共栄植民地で日本語学校の充実に尽力し、さらに89年にはドウラードス・モデル校設立に携わり、今も運営委員を務める。共栄日本語学校は今年、創立40周年。谷口さんは、「モデル校の建設当時は備品購入の資金がなくて、毎年寄付を募っていた」と振り返りながら、「年をとった今、日本文化を伝えていくのは僕らの使命だと思う」と話していた。
受賞者は次の通り。(カッコ内は居住地、学校名など。敬称略)
【特別功労賞】佐藤吉洸(サンパウロ市)、高原要次(福岡市)
【功労賞(一般)】谷口史郎(ドウラードス)、平田忠之(同)、白戸和子(ロンドリーナ)、鎌田勝五郎(カストロ)、南満(ピラール・ド・スル)、小島康一(マウア)。
【功労賞(日本語教師)】アマゾナス州=木場佐藤克子テレーザ(マナウス)、パラー州=高松シヅ(トメアスー)、島川浪子(ベレン)、バイーア州=成田八重子(サルバドール)、ミナス・ジェライス州=金城澄子(ベロ・オリゾンテ)、リオ州=加藤玲子(ボタ・フォゴ)、園尾彬(リオ)、富永由美子(ニテロイ)、南マ州=久米久美子(ドウラードス)、パラナ州=松崎文子(セルタネージャ)、設楽文枝(カストロ)、斉藤美代子(クリチーバ)、小本ラウラ光子(同)、笹谷聖子山中(同)、角敏子(同)、サンパウロ州=芝紘美(モジ)、山本康子(同)、坂野恵美子(カンピーナス)、今井恵實子(ジアデーマ)、中隅みつ子(サンパウロ市)、三石時子(同)、佐藤秀子(同)、山本重代(同)。
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